第1 確定判決 1 確定判決の存在と主文 静岡地方裁判所昭和41年(わ)第329号住居侵入,強盗殺人,放火被告事件 昭和43年9月11日判決宣告 主文は死刑 2 確定判決の認定事実(概要) 味噌製造会社工場の住み込み工員であった袴田巌(以下「袴田」という。)は,昭和41年6月30日,工場に隣接する会社の専務方に侵入し, 同人とその家族3名をくり小刀で突き刺した上,会社の売上現金等を強取し,被害者らに混合油を振り掛け放火して専務方を焼毀し,被害者4名を殺害した。 3 確定判決の証拠構造 確定判決が,袴田を犯人と認定する上で最も重視した証拠は,昭和42年8月に工場の味噌タンクから発見された5点の衣類 (白ステテコ,白半袖シヤツ,ネズミ色スポーツシャツ,鉄紺色ズボン及び緑色パシツ)である。 これらが,袴田が犯行時に着用していた衣類であると認定され,袴田が犯人と認められた。 第2 当裁判所の判断