永井均、『フィリピンBC級戦犯裁判』、講談社選書メチエ、2013年 著者が岩波から2010年に刊行した『フィリピンと対日戦犯裁判』の方は未読。ゆえに本書が岩波本の一般向け簡略版なのか、それとも新たな観点や問題意識が加えられているのかについてはいまのところ不明。今後調査してご報告します。 日本の右派が中国、韓国と対比して「反日じゃない」と引き合いに出す国の一つ、フィリピン。そのフィリピンにおける戦後しばらくの対日感情が極めて厳しいものであったこと、アメリカから裁判権を引き継いだ戦犯裁判の特徴、有名なモンテンルパ・ニュービリビッド刑務所での処遇、そして受刑者たちの恩赦、帰国に至るまでの経緯が紹介されている。タイトルは『〜BC級戦犯裁判』だが、内容的にはむしろ裁判後の経緯に重点が置かれている。 フィリピン人の対日感情を示すエピソードの中でも特に印象的なのは、降伏した日本軍将兵らにしばしば「バカヤ