意識が鮮明にありながら全身が麻痺し、ほとんどコミュニケーションもとることができなくなったら、人は死にたいと思うのだろうか。 もし、そう思った場合、他人の手を借りて安らかに死ぬことを法で認めていいのだろうか。 イギリスで22日、自ら死ぬ権利を求めていたトニー・ニックリンソンさん(58)が亡くなった。 彼は2005年に起きた脳卒中によって、眼球やまぶたといった一部を除き全身が麻痺する「閉じ込め症候群」を患っていた。そんな生活を彼は「完全な拷問」だとして、国に対し安らかな幇助自殺の権利を認めるよう訴え裁判を起こしていた。 しかし先週、イギリス高等法院は訴えを退け、自発的な安楽死を殺人とみなす現行法に問題は無いという見解を改めて示した。判決以降、ニックリンソンさんは最長7日間に渡って食事を拒否し、患っていた肺炎の病状が急速に悪化、22日の午前10時頃家族に見守られながら息を引き取った。 イギリスで