建物の老朽化を理由に、相模原市緑区中野の市津久井郷土資料室が3月末に休館した。60年以上にわたり地元を見詰めてきた“歴史の証人”だが、市立博物館によると2017年度以降に解体される予定という。地元住民からは津久井の歴史を語り継ぐ場として、資料室の存続を望む声が上がっている。 津久井郷土資料室は、1952年に県蚕業取締所として建築された建物を利用して、71年に開設。津久井湖底に沈んだ地域で使われていた民芸品や、旧相模湖町出身の郷土史家・鈴木重光が収集した文化資料、地元住民が寄贈した資料など約1万5500点を収蔵する。 地元住民が原稿用紙に手書きでつづった郷土史など、市井の人々の暮らしぶりが伝わる資料も数多く並んでいた。水没した集落から寄贈されたアユを運ぶかごなどの民具は、今はなき湖底に沈んだ地域の暮らしをしのばせる。 市博物館によると今後、収蔵資料を精査・分類し、展示場所や保管場所を決