読む前から、タイトルと目次をみるだけで、いろいろと予想が広がる1冊。 そしてなぜ表紙に猫がいるのか?その謎は、ラストまで読むとガッテンできるかと思います。 目次は、4章を「起承転結」で分け、それぞれに見出しがついているという、おもしろい方法です。 「結」の見出しから「このお話の最後は、よい方向でまとまるんだな」ということがわかるのですが、しかしこの「結」までの展開が、なかなかのものでした。 冒頭に、温泉の湧きでる銭湯が登場し、「これは温泉銭湯大好き女子高生・大島柚子(ゆず)の、のほほん話か?」と思いました。 しかし「承」の章に入り、主人公・柚子の家族背景があきらかになるにつれ、一見「フツー」に見えた柚子やその家族の、それぞれに抱えているものの重さが、浮きぼりになってきます。 柚子が銭湯で、ある理由からぶっ倒れたとき、入院先の変わり者おじいちゃん医師・オンジの言葉が、ずしりと物語全体に響きわ