離婚した夫婦の間で子どもの奪い合いが起きたとき、引き渡しはどうあるべきか、ルール化に向けて国の法制審議会が議論を始めた。何より、子どもの苦しみを増やさない議論を尽くしてほしい。 離婚した夫婦が子どもの親権をめぐって争い、家裁が親権者や監護権者を確定した後も、親権者でない親が同居している子どもを引き渡さない場合がある。解決が進まないと親権者側が裁判所に「強制執行」を申し立て、裁判所の職員が子どもを引き取りにいくことになるが、現場で親ともめることが少なくない。昨年、裁判に勝って強制執行を申し立てられた九十七件のうち、子どもが引き渡されたのは二十七件のみだった。