家常惠・元大阪子どもネットワーク代表 今年3月、東京都目黒区で5歳の女児が両親に虐待され亡くなった。事件を受け、国は緊急総合対策として、児童相談所の体制強化などを進める方針を掲げている。昨年8月に厚生働省が示した「新しい社会的養育ビジョン」以降、児童福祉は新たな転換期を迎えているようにもみえる。識者や現場の意見を聞いた。(3回の連載です) ◇ 1960年に大阪府初の福祉専門職として入庁しました。それから35年にわたって人生を福祉にささげ、最後は大阪府中央児童相談所長も務めました。 忘れられないのは95年、オウム真理教の麻原彰晃が逮捕された時のことです。山梨県上九一色村にいた5人の子どもを一時保護することになりました。 すると、親と信者が30人ほど押しかけてきたのです。最初は部下が対応していましたが、らちがあかず所長の私が出て行きました。事件についていろいろと報道で知っていたので、私は面会す