自閉症スペクトラム(ASD)は、対人忌避といった社会性の障害、言葉の発達遅れ、そして繰り返し行動が症状の特徴としている。それぞれは分かれているように見えるが、この3つの症状は全て社会性の障害を起点に説明できると個人的には思っている(あくまでも私見)。というのも、言語の発達には、他人とのコミュニケーションを求める積極的な気持ちが必要で、社会性が障害されると、当然言語の発達は遅れる。また反復行動も、社会から自分を守ろうとする行動と考えられる。実際、社会性という点では、ASDの正反対と言えるあまりにも無警戒に他人と関係を持とうとするウイリアムズ症候群の児童は、知能の発達は遅れていても、言語発達は目をみはる。 このように、ASD治療の一つの重点は社会性の回復と言える。これを実現すると期待されているのが、これまで「愛情ホルモン」と呼ばれ、人間の社会性を高めることがわかっているオキシトシンだ。事実本年