コロナ禍で院内感染が度々伝えられ、病院の衛生面にひときわ神経を尖らせている人も多いだろう。医療の現場では、医師や看護師は白衣を着て壁は白く塗られ、清潔さを保つ努力が行われている。これはウイルスや細菌、有害物質といったものに対する衛生管理だ。しかし医療施設は、その清潔感がどこか冷たい雰囲気も漂わせている。 英スコットランドのエディンバラに、患者の声を広く取り入れてデザインされた施設がある。外来は5歳~18歳、入院は8歳~18歳の患者を対象としている児童青年精神保健サービス(以下、CAMHS)だ。 メンタルヘルスの改善に有効な環境といわれる海辺をモチーフにしてデザインが始まり、幅広い年齢が心地よく感じられるデザインが施された。共同ラウンジには、灯台に着想を得た小部屋がある。清潔だが無機質なものではなく、若者にとっては家と病院の中間であるサードプレイスのような心地よさを意識した設計がなされている