今回紹介する『あたらしい戦略の教科書』はベストセラー『はじめての課長の教科書』の著者・酒井穣氏による第2弾だ。期待を裏切らない素晴らしい内容だった。現場で戦略を考えなければならない人はぜひ読むべきだと思う。 青の"課長本"に対し、今回の"戦略本"は真っ赤なカバーが目印 私自身、自分の仕事についての戦略を作ることがある。しかし本書を読み終えた今思うことは、戦略的思考はできていなかったということだ。私が戦略会議用の資料を作るときは、過去のフォーマットに従い、背景、目的、他社動向、市場予測(いつも右肩上がりなのが不思議だ)云々……を埋めていき、体制とスケジュールで締め括るという形をとるわけだが、これはいわば様式美の世界である。今まではこの「資料を作る」ことが「戦略を考える」ことなのかと思っていた。しかしこれでは「資料のための資料」という感じがしてならなかった。さらに戦略資料を作ることが目的となり