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ブックマーク / note.com/marunouchimuzik (16)

  • サブスクにない音楽は本当に存在しないも同然なのか?|夏目進平

    「ブランキーのサブスク解禁とアナログ発売。大事なのはブランキーを知らない若い人に届けること。現在の音楽シーンで、サブスクに音がないのは致命的。存在しないも同然だ。CDを聴こうにも廃盤で手に入らない。つまり若い人がブランキーを聴こうと思っても手立てがない」 小野島大氏 最近、こんなツイートを見かけることがあってね。ついに、"有識者" のような方からこうした発言が出るようになってしまったのかと、とても残念な気持ちになったんだ。 だってそもそも、その "存在" を伝えるために "有識者" がいるんじゃないのかな? その伝説を、名作の誉を、音楽の素晴らしさを伝えるために。そして、もしその偉業が伝わり、鳴り響いていれば、若い人だって中古なり、YouTube なりで勝手に探して勝手に耳にするはずなんだ。 なにより、たしかに多くの若い人に伝えていく、もしくは商業的な視点でサブスクに音がないのは致命的かも

    サブスクにない音楽は本当に存在しないも同然なのか?|夏目進平
  • MESHUGGAHによるMESHUGGAH全作レビュー|夏目進平

    80年代後半から90年代初頭。ポスト・ファースト・メタル・タイムと呼ばれるメタルの過渡期は、多様性が花開いた時期だと言えます。様々な影響をメタルに昇華した個性的なバンドが数多登場した時代において、唯一、単独で独自の音楽スタイルを作り上げたバンドがいるとすれば、それは MESHUGGAH でしょう。1987年にスウェーデンのウメオで結成された MESHUGGAH は、仄かにジャズ・フュージョンの息吹を吸い込んだ若いスラッシュ・メタルの一つとしてスタートしましたが、90年代半ばにはスタッカートとポリリズムを駆使するグルーヴ・メタルのパイオニアとなっていたのです。 つまり、MESHUGGAH のトレードマークは、最初から完全に形成された状態だったわけではありません。30年以上のキャリアの中で、ゆっくりとそれを熟成し、発展させていったのです。1991年のデビュー作 "Contradictions

    MESHUGGAHによるMESHUGGAH全作レビュー|夏目進平
  • なぜスウェーデンはメタル大国になれたのか?|夏目進平

    【Realise It Yourself Vol.1】 Realising Mediaの新イベント"Realise It Yourself"初開催のヘッドライナーとして Pain Of Salvation (Sweden 🇸🇪) @thebestofpain 90分セットで待望の来日決定です! 11/26/2024 (火) @… pic.twitter.com/aIIuYu7E8V — Hayato Imanishi (@hayatoimanishi) May 23, 2024 素晴らしいね!90年代から活躍を続けるスウェーデンのプログ・メタル・バンド。いや、もはやプログ・メタルなどという陳腐な言葉には収まらない唯一無二のカルト・ヒーローだ。彼らほど、メタルとオルタナティブとプログの垣根を取り払い、超越したバンドは他にいないだろう。 スウェーデンには彼ら以外にも、さまざまなメタルのカル

    なぜスウェーデンはメタル大国になれたのか?|夏目進平
  • All Is One: ヘヴィ・メタルがつなぐイスラエルとパレスチナ|夏目進平

    イスラエルのヘヴィ・メタル・バンド ORPHANED LAND は、そのキャッチーな歌とエモーショナルな歌詞、強烈なビートにオリエンタル・プログレッシブな音楽性で忠実なファンを生み出してきました。しかし、このバンドはそれ以上に、リスナーに平和のメッセージを伝えるという使命を持っています。"中東で最も人気のあるイスラエル人" とまで謳われる彼らは、ノーベル平和賞に推す声まで上がるほどのバンドなのです。 2013年夏から "All Is One" ツアーを行った彼らは、そこにパレスチナのヘヴィ・メタル・バンド、KHALAS を招き、共演し、ツアー・バスの狭い空間で友情を培いました。ツアーにはヨルダンの BILOCATE も参加。これによってライブの多様性は増し、その結果、ヘヴィ・メタルは、人々は少しの違いがあっても調和して協力できることを世界に示すことができたのです。 それまで、パレスチナ人と

    All Is One: ヘヴィ・メタルがつなぐイスラエルとパレスチナ|夏目進平
  • "Refocus": CYNIC が破壊したヘヴィ・メタルのルールと部族主義|夏目進平

    1993年、アメリカのメタル世界は、暗中模索という言葉がぴったりの状況でした。グランジ・ブームという核爆弾と、METALLICA が "Black Album" でスラッシュを排除した後、このジャンルは次のビッグサウンドを求めて躍起になっていたのです。当時、新進気鋭のヒーローは、グルーヴ・メタルの PANTERA から、ファンキーでエクレクティックな FAITH NO MORE までさまざま。ただ、フロリダのデスメタルの下層には、確実に独自のアイデンティティーのようなものがあったのです。 (Guitar誌の記事を元に翻訳、編集した記事) 1990年代初頭、OBITUARY, DEICIDE, DEATH といったタンパベイの新興バンドは、いずれも商業的なピークを迎えていました。彼らのブラスト・ビート、唸り声、トレモロ・ピッキングは、重さと速さを信仰する新たな層に、過剰なまでにアピールしてい

    "Refocus": CYNIC が破壊したヘヴィ・メタルのルールと部族主義|夏目進平
  • 賢人マイク・ポートノイの提言|夏目進平

    マイク・ポートノイは賢い人だ。 もちろん、人間なので失敗もする。マイクが今、DREAM THEATER にいないのは、その失敗の最たるものだろう。とはいえ、メンバーとの溝をしっかりと修復してまわっているところは、賢人の賢人たる所以だろう。 そんなメタル界のワイズマンが、THE WINERY DOGS の新作で新たな試みに挑んだ。レコード・レーベルからの解放だ。 「WINERY DOGS のこの新しいアルバムは、正直言って、レーベルを通さずに仕事をする初めての試みなんだ。俺の他の作品はすべて InsideOut Music と一緒にやっているからね。SONS OF APOLLO、TRANSLATLANTIC、LIQUID TENSION EXPERIMENT、Neal Morseとの仕事。これらはすべて InsideOut と一緒にやっているんだよ。THE WINERY DOGS の最初の2

    賢人マイク・ポートノイの提言|夏目進平
  • メタルの蘇生とプログの死: 僕の見た10年|夏目進平

    おかげさまで、Marunouchi Muzik Magazine もめでたく10周年を迎えられた。これはもう、ひとえに読者の皆さま、そして取材に協力してくれたアーティストたちのおかげだ。僕ががんばったからだなんてあんまり思ってないんだよね。僕のがんばりなんて、日盤のボーナス・トラックくらいのものよ。お為ごかしでもなんでもなく、読んでくれる人がいるから、喜んでくれる人がいるから、また書こうって思うわけで。だからね、当にありがとうしかないんだよ。 で、10周年を迎えるにあたり、一度初心に戻って振り返ってみようと思ったんだ。弊誌はそもそも、BURRN! が扱っていないようなアーティストを紹介したいという気持ちから始まった。誤解しないで欲しいんだけど、日に BURRN! があることは、僕たちメタル・ファンにとってとても幸せなことだ。BURRN! がメジャーなアーティストを掲載してくれるからこ

    メタルの蘇生とプログの死: 僕の見た10年|夏目進平
  • 今、世界で日本のメタルが沸騰している!|夏目進平

    「沸騰しているのはオマエの頭だろ!!」 いや、しごくごもっとも。SNS で真面目な (時々不真面目な) 音楽記事の隙間隙間に、サブリミナル効果のように好き勝手に弾いた SAVATAGE やアイ・サレンダーの熱唱を挟み込むこのイヤラシさね。まさに姑息。まさに承認欲求の悲しきモンスター。まさにカマキリ先生。だけど、母さん仕方がないじゃないか!チミチミチミチミとフォロワー様を増やしてきたのは、最終的に SAVATAGE に加入するためなんだから。まあ、僕のことはどうでもいい。聞いてくれたまえ。先日、BRING ME THE HORIZON のオリヴァー・サイクスがこんなことを言っていたんだよ。 「15年前、俺たちはロックやメタルの世界で散々バカにされていた。でも今では、作り手も受け手も自然に多様性を尊重している。だから恨みは全然ないよ。ロックは流行を作るより、常にカウンター・カルチャーであるべき

    今、世界で日本のメタルが沸騰している!|夏目進平
  • 俗悪の30周年にPANTERAが復活!|夏目進平

    1992年2月25日、"ヘヴィ" という言葉に新たな定義が与えられました。その日、テキサン・メタルの新鋭 PANTERA が、メジャー・レーベルで2枚目、シンガー、フィル・アンセルモと3枚目、そして通算6枚目となるアルバム "Vulgar Display of Power" を無垢なる世界に向け放ったからです。その衝撃は、30年経った今でも続いています。 PANTERA の PANTERA たる由縁であったアボット兄弟-ダイムバッグ・ダレルとヴィニー・ポールは悲しいことにもういません。では、PANTERA の名曲群をライブで味わうことは不可能なのでしょうか?いいえ、そうではありません。残されたフィル・アンセルモとレックス・ブラウンの二人は、傑作の30周年に封印された PANTERA の遺産を解き放つことに決めたのです。ダイムの代役はザック・ワイルド。ヴィニーの代役はチャーリー・ベナンテ。ア

    俗悪の30周年にPANTERAが復活!|夏目進平
  • CHILDREN OF BODOM の真実|夏目進平

    ※"The secret of the Children of Bodom: Janne, Henkka and Jaska reveal what really happened" の翻訳記事です。COB にいったい何が起こったのか?中毒という病気の恐ろしさ、バンドにまつわるリアルで難しいお金の話、兄弟のようなメンバー間の愛憎。残された3人が、Alexi の家族のサポートも受けながら真摯に答えた非常に重要なインタビューだと思います。Alexi に対する敬意と、優しさと、やるせなさが痛いほど伝わってきますね… CHILDREN OF BODOM は、Alexi Laiho が説明したような、あるいは一部のファンが推測したような理由で解散したのではない。Janne Wirman、Henkka Seppälä、Jaska Raatikainen がその証拠となるメールの会話を見せ、実際に何が起

    CHILDREN OF BODOM の真実|夏目進平
  • アルバムの2曲目GP!|夏目進平

    アルバムがアルバムとして聴かれなくなってしばらくが経つ。 それはそうだろう。音楽視聴の主流となったストリーミング・サービスにはプレイリストなるものがあり、かつて大変な時間と労力と謎のレタリングシートを使用して作成していたお好みテープがボタン一つで思いのまま。 ちなみに僕は南高松でも相当なオマセさんだった。小4の時に、隣に住む一つ上の美人のおねいさんに B'z と TM Network と徳永英明と久保田利伸を絶妙に調合したお好みテープをプレゼントしたところ、たいそう喜ばれた。しかし、それに気を良くして彼女が足を崩した瞬間パンツをガン見してしまい、"アッ?!" と秒で隠され以後気まずくなった苦い経験がある。これは今でも夢に見る。パンツはたとえ見えたとしても、ガン見してはいけない。人生の教訓となった。お好みテープにはそうしたトラウマを抱え込む危険性もあったのだ。 とにかく、ストリーミング・サー

    アルバムの2曲目GP!|夏目進平
  • 戦争とメタルと平和ボケ|夏目進平

    部屋とワイシャツと私みたいなタイトルになってしまったけど、あの背筋も凍るような恐ろしい唄はぜんぜん関係ない。 メタルと戦争は切っても切れない仲だ。 もちろん、々とした暗がりや、重々しい地獄の責め苦、驚きを伴う知性を求める向きも少なくはないけど、やっぱりヘヴィ・メタルに最も求められているものは勇壮や高揚感だと思う。そして勇壮や高揚感が求められるのは、忌まわしい戦争も同じだ。 例えば、メタル世界全体のアンセム、IRON MAIDEN の "Aces High" は戦争の歌だ。第2次世界大戦の BoB(バトル・オブ・ブリテン)で、スピットファイアがドイツ軍の機体と繰り広げる空中戦を題材としている。"We Shall Never Surrender" でおなじみ、英国首相チャーチルのナチス・ドイツに対する宣戦布告を枕詞にして。 それを聴いて、僕たちは想像するんだ。祖国に迫る危機。"悪" がすぐそ

    戦争とメタルと平和ボケ|夏目進平
  • イングヴェイは異世界に転生してもやっぱり貴族、いや正確には伯爵でした (第一弦)|夏目進平

    (このまま音楽サイトを細々と運営していても、仕事をサッパリ辞めてフランスの古城に移住などは夢のまた夢なので、ラノベで一発当てたいと思います。何卒、よろしくお願いいたします) 俺はイングヴェイ・ヨハン・マルムスティーン。貴族、いや正確には伯爵だ。世界最高のギタリストだった。だったというのには理由があって、ある日俺はステージで虚空にぶん投げたストラトキャスターがライアー!っと頭に刺さってマーチング・アウト。この世を去ってしまったんだ。俺だけは一生ネヴァー・ダイだと思っていたのに、信じられないね。ハッハー! でも心配しないで欲しい。世界最高の才能は失われなかった。神様も俺の才能が世界から消え失せるのを見ていられなかったんだろうな。気がつくと異世界で、美少年だった12歳の姿に戻っていたんだ。たしかにほんの少し、ほんの少しだけ脂肪がついたとは感じていたから、むしろラッキーだったかもしれないな。当然、

    イングヴェイは異世界に転生してもやっぱり貴族、いや正確には伯爵でした (第一弦)|夏目進平
    AKIYOSHI
    AKIYOSHI 2021/09/09
    Drはマイク・テラーナかな?
  • 車を買う。そしてヘヴィ・メタルを歌う。|夏目進平

    あなたは一人でカラオケに行けるだろうか?僕は行けない。いや、行けなくはない。だけど、決して同じ店に通いたくはない。うなじのキレイなポニーテールの女子大生店員さんに、毎回一人でなんて哀しいひとなんだと思われたうえに、「延長…プスッ…しますか?プフッ」と笑われ、フレンドレス・オブ・ミザリーなんてあだ名までつけられてしまったらトラウマになってもう二度とブラック・アルバムが聴けなくなってしまうじゃないか。 だけど、僕たちは何しろストレスがたまっている。誰かと飲みにもいけない、カラオケにもいけない、ライブにもいけない、旅行にもいけない。行動は一人かせいぜい嫁と一緒くらいなもので、吐け口もなく、すっかり家でアマプラとX-videosを交互に見るだけの借りてきた種馬になってしまった。もはや、僕のPCなどは、"き" と入れただけでありとあらゆる巨乳を指し示す、怪奇骨董巨乳箱へと成り下がってしまった。ザーボ

    車を買う。そしてヘヴィ・メタルを歌う。|夏目進平
  • 最高傑作を決めよう!(イングヴェイ・マルムスティーン編)|夏目進平

    先日、イングヴェイ・マルムスティーンの雇われシンガーもとい、頭髪のライアーもとい、ソウルメイトの一人だったマーク・ボールズがこんなことを語っていた。 「(イングヴェイのボーカルについて) 努力はしているが単純に良い声じゃない。僕がギターを手にしてもイングヴェイみたいに弾けないのに、なぜ彼はマイクに向かって僕みたいに歌えると思うのかな?」 まさしくその通り。おっしゃる通り。ド正論。ごまかしているのは頭髪だけ。 歴史に残るインストの名作 "Far Beyond The Sun" と "Black Star" と "Icarus' Dream Suite Op. 4" が入っている時点でギタリストとしての最高傑作は "Rising Force" で決まりなんだけど、絶対貴族が絶対貴族たる由縁は、歌モノを作らせても天才なところだったんだ。 ギター・インストとメタル・アンセムを両立している人なんてほ

    最高傑作を決めよう!(イングヴェイ・マルムスティーン編)|夏目進平
  • 桑田佳祐に失望した日|夏目進平

    で一番好きなアーティストは? そんなの決まっている。言わせるなよ。桑田佳祐 "だった"。 桑田佳祐は適当な完璧主義者だった。突き抜けた天才なのに曖昧だった。クセが強いようにみえて、しなやかと軽さをはき違えない。 例えば、彼の歌はロックのようで歌謡曲だ。英語スペイン語のようで日語だ。どちらかに振り切ることは決してない。 「女呼んで もんで 抱いて いい気持ち 女なんてそんなもんさ」 と嘯いたフェミニスト真っ青の"女呼んでブギ" とか、ド直球の "マンピーのG☆SPOT" で下衆とオゲレツを極めながら、"SEA SIDE WOMAN BLUES" や "メロディー" で情緒を湛え泣かせにかかる。 愛家にみえて、奥さんの前で平気で "LOVE AFFAIR 〜秘密のデート〜" みたいな真に迫った浮気の歌を熱唱する。余談だが、ときどき奥さんに卑猥な言葉でコーラスを歌わせるのは狂気じみてい

    桑田佳祐に失望した日|夏目進平
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