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ブックマーク / shirooo305.hatenablog.com (18)

  • 『ワンダーエッグ・プライオリティ』3話の演出について - Paradism

    3話のAパート、個人的に特に印象に残っていたのがリカの入浴シーンで描かれた蛇口から流れ出る水*1の描写でした。2カットに渡り執拗に描かれていたうえ、いずれもナメ構図を使っていた点からも、少なからずここにスポットを当てていたことがわかります。ポーチとリカ、被写体の中心に据えられたのはその両者ではありますが、やはり強烈なインパクトを残していたのは蛇口と水。このシーンまでではまだ明かされていないリカの内に秘める想いや葛藤が少しずつ漏れ出している様を連想させるモチーフとしても描かれていたのでしょうが、アンニュイな表情と映像の空気感からもそれはそれとなく伝わるよう描かれていたのだと思います。 ですが、その直後に蛇口を閉め、顔を一度ゆすぎまっすぐ前を見て表情を作る、という一つの流れが描かれます。アイドルが前職の彼女らしい振る舞いではありますが、ある種これもまた彼女にとっては必要なルーティーンだったのか

    『ワンダーエッグ・プライオリティ』3話の演出について - Paradism
  • アニメにおけるFIX・長回しの芝居について - Paradism

    先日『のんのんびより のんすとっぷ』1話のアバンを観返していて、この間の持たせ方とか雰囲気の出し方って、この作品の特別な色にすらなってるよなとか、そんなことを考えていたんですが、改めて1期や2期を振り返っても記憶にあるのはやはり同様のFIX(カメラ固定)、長回し気味のシーンやカットが多く、思い返すとこの類いの見せ方が自分は当に好きなんだなということを久しく認識させられたりしました。 *1 特に印象に残っているのは1期4話のこのカット。FIX長回しのカットで言えば2期12話で描かれた縁側のシーンなども素晴らしいのですが、個人的にはやはりこのカットが一番印象深いです。こういう形で背景がしっかりと舞台として機能している*2のも新鮮で、一度高い場所に登って降りてくるという導線や芝居が、空間の広がりと好奇心旺盛なれんげ自身の子供らしさや性格を彩ってくれるようにも感じます。 そして何より、カメラが固

    アニメにおけるFIX・長回しの芝居について - Paradism
  • 『エロマンガ先生』8話のフレーム内フレームと演出について - Paradism

    部屋から出ることが長い間出来なかった紗霧。親族との別れと心の傷が大きな要因であることは間違いないのだと思いますが、おそらく彼女は兄であるマサムネと向き合い、相手の気持ちを知るのが怖かったのだとも思います。自分に芽生えた恋心を受けとめて貰えるのか、同じ想いで居てくれるのか。そんな不安も彼女が足を踏み出せない原因に成り得ていて、だからこそ紗霧は常に扉一枚分ほどの壁を心に作っていたのでしょう。それは今回の話でも同様で、例え部屋に入れる仲にまでなっても彼女はまだ薄いベールで相手の心との間に一線を引いていたのだと思います。それは打ち上がる花火をしっかりと見つめるマサムネとの対比にもなっていて、だから紗霧はカーテンを引くことができない。それは直接的な描写として、彼女の “外(=相手の心)と向き合うことへの恐怖心” を現した表現でもあったはずです。 けれど彼女は力を込めカーテンを掴み、意を決して自らの

    『エロマンガ先生』8話のフレーム内フレームと演出について - Paradism
  • テレビアニメOP10選 2020 - Paradism

    今年もこの企画に参加させて頂きます。放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略含む。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はいつもと同様 「とにかく好きなOP」 です。 恋する小惑星 / 歩いていこう! それぞれの道、目標、夢。そういったものを幾重にも折り重ね描いてきた作を改めて凝縮し、エモーショナルに織り込んだのがこのオープニングの素晴らしさです。どこか遠くを見据える視線が多いのもそういったフィルムコンセプトの賜物なのかも知れません。1話で描いた原風景がずっとここにあり、その先に今があって、未来がある。固く結ばれた手とその眼差しの強さに "あなたとならどこまでもいける" と思わせてくれたことがとても嬉しかったです。透き通るようで、感傷に浸れる楽曲も素敵。自分自身と重なる部分もあり、個人的には幸先生のカットが一番好きでした。 かくしごと / ちいさな日々 家族二人で歩んできたこれまでの

    テレビアニメOP10選 2020 - Paradism
  • 青空の似合う貴方へ――『22/7』7話の演出について - Paradism

    これまでの話とは違い、フィルムの質感が一変したのはジュンが建物の裏手に入ったシーンからでした。影中にスッと入っていく彼女の姿と、それを暗喩的に捉えるレイアウトはまだ見ぬ彼女の心根にそっと触れるような感触を与えてくれました。しかし、彼女はいつも通りの表情を再度見せ、影中から陽の当たる場所へと走り出していきます。オーバーラップしていく空の青さへの重なりと、駆け出す少女の後姿を映すことへの深い意図。それはこれから描かれていく彼女の半生が、いかにして今へ至ったのかを指し示す伏線にも成り得ていたのだと思います。 それはまだジュンが幼少だった頃。生まれつきの持病を患い友達なんていなかったと語るその姿を捉えた映像は、余りに克明に彼女の孤独を映し出していました。回想シーン冒頭におけるジュンと空の青さの乖離は、それだけで胸を突き刺すようビジュアライズされており、ほぼ全影で塗りつぶされた彼女の存在はまるで世界

    青空の似合う貴方へ――『22/7』7話の演出について - Paradism
  • 『空の青さを知る人よ』の演出と青さについて - Paradism

    長井龍雪監督作品におけるパキっとした影づけ、目にかかる影、影中の表現。それは往年の作品から続く “長井監督らしさ” でありながら、その中で描き続けてきた物語の象徴としてもその存在を印象づけてきました。屈した感情、心に溜まるもの。それらをライティング*1から表現し描くのは、ひとえに言葉として打ち明けられない彼・彼女たちの想いを汲み取れる表現でもあるからなのだと思います。もちろんアニメという映像媒体である以上、ビジュアルとしての良さを突き詰めた結果そうなった側面はあるのだと思いますが、関係性や心情を物語の軸として描いてきたのが超平和バスターズという作家陣の軌跡です。だからこそ、色彩や撮影、レイアウトなど、それらが合致することで生まれるライティングの趣きの中には、やはり物語的な意図が深く根づいているのでしょう。 それは今作でも同様であり、影づけが顕著に映えるシーンの多くが印象的なものとなってい

    『空の青さを知る人よ』の演出と青さについて - Paradism
  • 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』5話の演出・再演について - Paradism

    同ポが促す再演への期待。回想で語られたシャルロッテの出会いが現在へと回帰していく映像がとても良く、素敵でした。泣いていた少女と祈る少女を遠巻きに見つめるように前景を立てるレイアウトも憎らしく、この絵を何度も使う理由には今話の主題の一つでもあったシャルロッテ姫の成長を見守る意図も多く含まれていたのだと思います。 もちろん見守るだけではなく、正面から切り取ったり、至近距離までカメラを近づけ、感情を直接的に映し撮るのも今話の良さに拍車を掛けていました。それは作が「当の心を掬い上げる」物語でもあることと同じく、溢れ、零れ出す感情を映像としても見過ごすことなく捉えることに “掬い上げる” という意味を見出したからに他ならないのでしょう。それは時折差し込まれるヴァイオレットやシャルロッテたちの感情的なアップショットにも同じく当て嵌めることの出来るものであり、そうした被写体に寄せるべきカットこそが

    『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』5話の演出・再演について - Paradism
  • 『可愛ければ変態でも好きになってくれますか?』1話の演出について - Paradism

    ダッチアングルや広角レイアウトなど凝った画面が多く印象に残った1話。平凡な日常の一コマでも角度をつけ、位置関係、奥行きに拘ればそれだけで “何か” が受け手に伝わっていくことを知らしめるようなフィルムになっていたと思います。もちろん、どれだけの意図が含まれていたのかは図りかねるところですが、平坦なレイアウトではなくその世界に在るものを広く見せることで没入感を与える効果、現在がどういう状況にあるシーンなのかということを明瞭として伝える意味などはやはり大きかったはずです。 くわえて、ロングショットを頻繁に挟むことで、一人一人の物語へ焦点を絞っていくような質感がより今話の良さを引き立てていたと思います。ナメを使った画面の効果もあり、どこか覗き見るような、遠巻きに登場人物たちの行動や心の内を見透かしていくようなレイアウト・構図が情感を生み出していました。このシーンにおいては劇伴含め前者をドラマチッ

    『可愛ければ変態でも好きになってくれますか?』1話の演出について - Paradism
  • 『こみっくがーるず』と徳本善信さんの演出について - Paradism

    *1 1話序盤から目立っていたロングショットでの芝居。静かに始まる導入と各々が寮へ集まる過程をじっくりと描いていたのが素敵で、とても引き込まれる演出だったと思います。fix、長回しで遠くから二人を見守るようなカメラ位置は、さながら下校する二人の時間をありのまま切り取る映像そのもので、そういった彼女たちの日常的な風景をしっかりと捉え描くことがフィルムに漂う情感の一因になっていました。話の冒頭がこれほどまでにエモーショナルだったのは、劇伴などの効果を踏まえてもやはりそういった映像の影響が大きいように感じられます。 バスト・アップショットなども使いますが、やはり引きの絵が強い冒頭。限界まで引いたような絵からフルショットほどの距離感まで魅力的な構図・レイアウトを使っていたのが非常に良かったです。寮の門を潜り引き戸を締める芝居も、この距離感で描くことに侘び寂びの趣きがあり、間や情感の介在する素敵な

    『こみっくがーるず』と徳本善信さんの演出について - Paradism
  • 『22/7 「あの日の彼女たち」』の演出について - Paradism

    光、音、レイアウト、芝居、台詞、時間。その枝葉まで如何なくコントロールされた繊細なアニメーションに衝撃を受けた『あの日の彼女たち』。二分にも満たない短編で描かれた作は少女たちの感情を寡黙に語らない一方で、映像の側面から各々の内面・関係性を描き、そっと彼女たちに寄り添っていた印象を受けました。 中でも光による画面コントロールは印象的に使われていたことが多く、特に滝川みう編から斎藤二コル編*1へと繋ぎ描かれたアンサーフィルムとも取れる相互の映像は非常に雄弁でした。レイアウトと影づけによる境界、撮影によってより誇張されるビジュアルの変化は何を語らずとも少女たちの輝きをそこに映し出しているようで唸らされます。二コルから見たみうの輝きと、そんな輝きを追い掛けんとする二コルが持つ別の輝き。世界が少女たちを祝福するかのような光は、まるでこの作品における彼女たちの可能性を描き出していたようにも感じられま

    『22/7 「あの日の彼女たち」』の演出について - Paradism
  • 『ヤマノススメ サードシーズン』10話の演出について - Paradism

    7話から描かれ続けてきたあおいとひなたの擦れ違い。おそらくは、あおいの成長、交友関係の広がりに対して “遠ざかっていくような感覚” をひなたが覚えてしまったことが原因の一つになっていたのでしょう。どこへ行くにしても常に傍にいた存在が少しずつ “自分の居ない場所” へ足を向けることに抱いてしまう寂しさや戸惑い。互いを見続けてきた二人の関係だからこそ変化というものにはとても敏感で、どちらかが変わっていく分だけその間には少しだけ小さな溝が生まれてしまったのだと思います。 そして、話はそんな溝とそのせいで出来てしまった心的距離をとても繊細に切り取っていました。特に人さえまだ言葉にすることが出来ていなかったひなたの抱く感情を寡黙に、且つ雄弁に映し出してくれていたのは当に素晴らしく、冒頭から終盤にかけ彼女の想いを一つ一つ拾い上げていくよう紡がれたフィルムの運びは非常に感傷的でした。 冒頭で描かれ

    『ヤマノススメ サードシーズン』10話の演出について - Paradism
  • 『ヤマノススメ サードシーズン』2話の演出について - Paradism

    *1 特徴的で可愛らしい表情、フォルム、皺のニュアンス、デフォルメ。挙げれば切りがないほどに素敵な作画を見せてくれた話でしたが、少しアンニュイな空気を抱えた今回の話にとっては、あおいの心情に寄り添った演出がとても良い補助線を引いていて話に引き込まれる大きな要因の一つになっていました。 中でも特に良いなと感じたのはカメラワークで、かえでさんに登山の購入を薦められるシーンなどでの演出は前述したような心情への寄り添いがとても顕著でした。かえでさんの話に聞き入るようぐっと前へカメラが動いても良さそう*2な場面ですが、このカットでは少しずつ引いていくようにカメラがT.Bしているのが分かります。「登山、 やっぱり必要ですかね?」と後ろ向きな声色であおいが聞き返したように、カメラが下がっていくことが、おそらくはあおいの気持ちが “登山” から遠ざかっていたことへ同調していたのでしょう。登山が趣味

    『ヤマノススメ サードシーズン』2話の演出について - Paradism
  • 『HUGっと!プリキュア』16話の演出について - Paradism

    全てにおいて素晴らしいとしか言いようがなかった話ですが、まず最初に目を奪われたのは構図やレイアウトの良さでした。特に日常パートでの人物配置などは素晴らしく、それぞれの芝居や表情を一つの画面に乗せることで、その空間でのやり取りを楽しく生き生きと伝えてくれていました。一人一人にカメラを寄せ映していくことも出来たはずですが、そうはせずワンカットの中に個性的で豊かな芝居・表情を詰め込んでくれたことが序盤のやり取りの面白さにも繋がっていたはずです。 こういったカットも同様です。手前で面白いやり取りをしている二人を描きながら、その奥にもちゃんとほまれたちを映して彼女たちの反応を描く。些細な反応ですが、それと分かるくらいの距離感・絶妙な配置がとても巧く、彼女たちの関係性が見える空間と空気感を感じられるのがとても良いです。 今回のコンテを担当されたのは渡邊巧大さんですが、こういったレイアウト・構図は他の

    『HUGっと!プリキュア』16話の演出について - Paradism
  • 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』6話の演出について - Paradism

    リオンとヴァイオレットを交互に映すカッティング・カットバックが多く見られた今話。「こういう顔なんだ」と言ったリオンの言葉宜しく、無表情であること、怒っているように見えてしまうことを逆手に取った表情の機微を取らえるコンテワークがとても印象的でした。ポン寄りなどの心に踏み込むようなショットや、交互に何度も切り返す映し方は前話でも見られましたが今回ではさらにそれが顕著だったと思います。 交互に映し、少しずつ近づけていく。過程を切り取る。二人の距離感と反応を伺うように繋がっていくカット運びは緊張感もありつつ、しっかりと両者の対話を描いていました。コミュニケーションが得意とは言えない二人ですが、その距離を詰めるように段々とヴァイオレットを理解し、心惹かれていくリオンの姿を克明に刻むカッティングがとても丁寧でしっかりとその心の変遷を捉えていたと思います。 そして、自身の解読に遅れることなくタイプを続け

    『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』6話の演出について - Paradism
  • 『宇宙よりも遠い場所』5話の演出について - Paradism

    南極へ旅立つマリの話から一転、めぐみの心情を多分に含んだ話へとシームレスに変遷する物語とフィルムの構成。すっと上手が入れ替わり、話の主体がマリからめぐみへと変化していたことをカット単位で寡黙に伝えてくれる巧さに心がざわつきました。二人の関係と向き合うことを強要するような横の構図がもたらす印象はとても強烈で、対立的。なによりゲーム機のコードをわざと引っかけたことや前話のCパート、遡れば意味深だったこれまでの彼女への映し方なども含め、今回の話はそうして彼女が溜め込んでいたものを直接的に映すことへ余り躊躇 (ためら) いがありませんでした。 淀みを含んだ感情。それを覆う壁。押し流すことが出来ない心の弱さ。フレーム内フレームで閉ざされた空間にめぐみを映したのも意図的で、マリとの距離感を感じさせる上、そこから想起されるものはやはり作の代名詞とも呼べるあの水たまりのカットに他なりません。それは普段の

    『宇宙よりも遠い場所』5話の演出について - Paradism
  • 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』1話の手の芝居と演出について - Paradism

    輪郭線や反射光・影の多さなど、これまでの京都アニメーション作品を振り返っても特筆して線量の多いデザインと言っても過言ではない今作ですが、その中でも特に印象に残ったのは手の芝居に関してでした。それも感情や想いがその手を動かしているよう感じられたものが多く、例えば冒頭でヴァイオレットが自問自答するシーンに合わせ描かれた芝居はそういった感情の表出がとても顕著だったと思います。 ぎゅっと胸元を押さえるような動き。言葉にできないものに触れようとする指先の加減。「心を持たない」と言われ、普段の表情も決して豊かとは言えないヴァイオレットですが、この芝居はそんな通説に反してとても感情的だったと思います。芝居自体は大袈裟なものではありませんが、「こういうの、なんと言うのでしょう」と語るヴァイオレットの言葉を体現するような手の動きがよりこの芝居を感情的なもの足らしめてくれていました。なにより、こういった芝居こ

    『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』1話の手の芝居と演出について - Paradism
  • テレビアニメOP10選 2014 - Paradism

    昨年書いた記事から丸一年。季節も頃合いということで約1週間の遅れとなりましたが今年もこの企画に参加させて頂こうと思います。放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略。視聴した作品からのみの選出で、選出基準は毎年同様 「とにかく好きなOP」 です。 未確認で進行形 / とまどい→レシピ 「タッタッタラ」 という軽快なリズムにのってお贈りされる四季折々のフラッシュメモリーに気持ちが昂まれば、そのリズムを身体全体で刻む少女たちの可愛さに酔いしれる素晴らしいOP。表情豊かなその作品性よろしく、主要キャラからサブキャラまで実に楽しそうなのが凄く良いです。動画工房らしい大きな動き、アニメらしい表現もとても魅力的。あと定点観測のカットにはどうしたって抗えないな、なんていう再確認もありつつ。 生徒会役員共* / 花咲く最強レジェンドdays アバンにOPのイントロが噛んでくるのが好き過ぎるやつ。爽快感の

    テレビアニメOP10選 2014 - Paradism
  • 新海誠監督から見る風景『クロスロード』 - Paradism

    先日公開された新海誠監督による短編アニメーション『クロスロード』。Z会のCMのために制作されたこの映像ですが、そこに込められた祈りのような想いは一貫して新海監督の根底に根付いたものを繊細に切り取ったフィルムであったように思えます。 特に120秒verにおいてはその冒頭に、そして15秒、30秒verにおいても同様にその主題として置かれた 「遠くにいきたい」 という熱の篭る言葉*1。『ほしのこえ』や『雲のむこう、約束の場所』から辿れば全ての作品において描かれていたであろう“遠くを見据える”ことへの美学、そして“夢に向かい手を伸ばす”ことの尊さを、僅か2分弱で描き出してみせた『クロスロード』は言うなれば監督自身の祈りや願い、夢そのものの象徴でもあったのだと思います。 それも言うなれば“叶うことはないだろう”と思わせたこれまでの物語の数々(それは例えば、『ほしのこえ』 における恋人との再会であった

    新海誠監督から見る風景『クロスロード』 - Paradism
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