©Bill Douthart / ECM Records 認知科学によるリズムへの分析的アプローチの実践 日本でどれくらいリズム、特にポリリズム/クロスリズムが教えられているものなのか実態についてはまったく分からないが、昨年、東京芸大で菊地成孔がまさにこのテーマで講義を行っていた(現在はニコ動のメルマガで会員登録し購読すれば視聴することができる)。この講義に参加するため行った下調べで、欧米ではリズムについての分析が随分盛んだということに気がついた。アフリカのリズム~クラーヴェ(カリブ/南米)~ジャズ(北米)のリズムの組成と生成を比較分析するために、様々な数学的/認知科学的/文化人類学的アプローチがとられていて、その成果をWEB上に発表し、様々な研究者が共有している。 今回、あらたにECMがサインしたピアニスト、ヴィジェイ・アイヤーは、まさにあらゆる音楽のリズムについてさまざまな比較分析を実
魔境に生まれるジャズの寓話 紋切り型の出だしで始めるなら、アルメニア出身のティグラン・ハマシアンは、「今、最も期待が集まる注目のピアニストのひとり」ということになる。これに、ここ数年のジャズ界において最も〈効く〉印籠として使用頻度が滅法高い『セロニアス・モンク・コンペティション』の1等賞を2006年に受賞、と付け加えておけば敏いジャズファンはそれだけで耳をそばだててくれるはずだが、ついでに言っておくと、この賞の価値は、2等賞にジェラルド・クレイトン、3等賞にアーロン・パークスがいたという事実を知るとより増すかもしれない。近年のジャズ界を騒がせる俊英を押しのけての1位。このときティグランは10代だった。5年前のことゆえ仕方ないといえばそうなのだが、ただ、それを差し引いても、受賞に関するティグランの態度は意外にも冷淡なものだった。 「業界やミュージシャンのサークル内での認知は確かに上がったけど
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く