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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/kawakami (8)

  • UAEメディアが今になってイスラエルとの国交正常化を礼賛し始めた理由

    8月31日、アラビア語、ヘブライ語、英語で「平和」と書かれたイスラエルのエルアル航空機がUAEのアブダビに到着 REUTERS/Nir Elias/Pool <8月13日に米国の仲介で合意した「歴史的」な国交正常化。UAE側の反応はこの2~3週間で変わってきた。パレスチナ問題の地盤沈下、コロナ禍の影響、そしてアッバス議長の「致命的」な敗北......。合意の背景を読み解く> イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)が米国の仲介で合意した国交正常化について、9月中にもワシントンで調印式が行われるという見通しが出ている。 すでに8月24日にはUAEのオワイス保健予防相とイスラエルのエーデルシュタイン保健相が電話会談を行い、新型コロナウイルス対策など、保健・科学研究分野での協力を話し合うなど国交正常化は始まっている。8月31日には「平和」とアラビア語、ヘブライ語、英語で機体に書いたイスラエルのエル

    UAEメディアが今になってイスラエルとの国交正常化を礼賛し始めた理由
  • パレスチナ映画『ガザの美容室』にイスラエルが出てこない理由

    政治が破綻し、閉塞状況を生きる人間たちのドラマ『ガザの美容室』。「パレスチナ問題のいま」ではなく「パレスチナ人のいま」から、日人に見えてくるものもあるはずだ> 「ガザ」と言えば、いま最もまがまがしい響きを持つ地名だろう。5月にイスラエルの米国大使館がエルサレムに移転した時、パレスチナ自治区ガザでパレスチナ人の大規模な抗議デモが起こり、イスラエル軍の銃撃で60人以上が死んだ。 「ガザ」では、イスラム組織ハマスの支配が始まった2007年以降、イスラエルによる封鎖が続き、08年、12年、14年と3回にわたってイスラエル軍による大規模な攻撃を受けた。 ガザは地中海に張り付いた絆創膏のような場所で、海岸の長さ40キロ、幅は6キロから12キロ。北と東はイスラエル側でコンクリートの壁で仕切られ、南はエジプトとの国境で遮られている。海も海岸から10キロほどのところでイスラエル軍に封鎖されている。まさに

    パレスチナ映画『ガザの美容室』にイスラエルが出てこない理由
  • パレスチナ人を見殺しにするアラブ諸国 歴史が示す次の展開は...

    米大使館のエルサレム移転に抗議するデモはイスラエル軍に鎮圧され、60人を超える死者が出たが、アラブ諸国は駐イスラエル大使を召還するような動きも見せなかった(5月11日、ガザ) Mohammed Salem-REUTERS <米大使館のエルサレム移転で勃発したパレスチナ危機。サウジアラビアもエジプトも身内の苦難に声を上げようとしないが、これは過去40年、何度も繰り返されてきたパターンだ。次の危機が迫っている> 米国のエルサレム移転に抗議するガザでのデモにイスラエル軍が銃撃し、60人を超える死者が出た。デモは5月16日には鎮静化し、いまのところ新たなインティファーダ(民衆蜂起)につながる様相は見えない。しかし、パレスチナの混乱が収まればそれで問題が終わるわけではない。今後の懸念は、エルサレム問題が次の中東危機の前触れとなることである。 この問題で国際社会の懸念は、2000年9月に始まった第2次

    パレスチナ人を見殺しにするアラブ諸国 歴史が示す次の展開は...
  • 空虚な言葉だけが飛び交った、自覚なきトランプの中東歴訪

    5月23日にヨルダン川西岸のベツレヘムで会談を行ったトランプ米大統領とアッバス・パレスチナ自治政府議長 Jonathan Ernst-REUTERS <イスラエルとパレスチナを訪問し、中東和平実現を約束したトランプ米大統領だったが、まるで観光旅行のノリだった。そしてその裏では、パレスチナ人政治犯のハンストやハマスの戦術転換など新たな闘争が始まる予感が広がっている> トランプ大統領の中東訪問が終わった。イスラエルとパレスチナを訪れ、中東和平合意という「究極の取引」実現を約束したが、3年前から止まっている両者の和平交渉再開の具体的な提案はなく、空虚な言葉だけが飛び交った。米大統領がイスラエルとパレスチナを訪問するということの重大性を考えれば、中身のない訪問である。 トランプ大統領はネタニヤフ首相に対しては「米国とイスラエルの断ち切ることのできない友情の絆を再確認した」と語り、「我々は友人以上で

    空虚な言葉だけが飛び交った、自覚なきトランプの中東歴訪
  • 2017年は中東ニュースが減る「踊り場の年」に【展望・前編】

    <「シリア内戦の行方」「イスラム国(IS)掃討作戦」「トランプ米政権の発足」に関心が集まっているが、今年の中東は「踊り場の年」になるだろう。2011年の「アラブの春」で始まった中東危機の6年間を振り返って整理してみると――> (写真:アラブの春の発端となったチュニジアの少女、2016年1月撮影) 2017年の年頭に、底なしの混乱の中にある中東を時間的、空間的に俯瞰してみたいと思う。 いま、中東についての世界の関心は「シリア内戦の行方」と「『イスラム国(IS)』の掃討作戦」であろう。さらに今月20日に米大統領に就任するトランプ氏は選挙戦の間、イランとの核合意の見直しに言及し、駐イスラエル米大使館をエルサレムに移すと発言している。米新政権発足で米国・イラン関係やイスラエル・パレスチナ問題がどのように影響を受けるが注目される。 2017年がどのような年になるかについて、私の予測は「踊り場の年」で

    2017年は中東ニュースが減る「踊り場の年」に【展望・前編】
  • 米国がイスラエルの右翼と一体化する日

    Kobi Gideon/Government Press Office (GPO)/Handout via REUTERS <トランプ氏の中東の諸問題に関する認識には誤りも多いが、その発言内容をひもとくと、イスラエルの発想が透けて見える。トランプ次期政権がイスラエルの右翼と協調する初の米政権となれば、パレスチナ紛争やシリア内戦、ISとの戦い、さらには国際社会にも新たな危機が訪れるかもしれない> (上写真:9月にニューヨークで会談したトランプ氏とイスラエルのネタニヤフ首相。ネタニヤフ連立政権には右翼政党が参加している) 中東でトランプ氏の米大統領選挙の勝利が確実になった日、サウジアラビア系の日刊紙アッシャルクルアウサトのデジタル版は「トランプが世界を驚かせる。先が見えない米国の行方」と大見出しで報じた。 トランプ氏は選挙キャンペーン中の米メディアとのインタビューや演説で「なぜ、米国がサウジア

    米国がイスラエルの右翼と一体化する日
  • 映画『オマールの壁』が映すもの(1)パレスチナのラブストーリーは日本人の物語でもある

    ※ネタばれ注意 イスラエルによる占領下でのパレスチナの若者を描いた『オマールの壁』の上映が4月から東京で始まり、5月になって上映館が増え、好評だという。約10年前に、自爆攻撃に向かう2人のパレスチナ人の若者の48時間を追った『パラダイス・ナウ』を撮ったパレスチナ人監督、ハニ・アブ・アサドの作品である。『パラダイス・ナウ』ではアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたが、『オマールの壁』で2回目のノミネートとなった。 『オマールの壁』はパレスチナの若者たちがイスラエルの秘密警察の策謀によって、友情や愛を引き裂かれる悲惨な物語であり、サスペンスを利かせた巧みなストーリー展開で見せていく。イスラエル軍によって、全裸で吊り下げられて拷問される場面もあり、衝撃的な結末まで、鉛を呑まされるような重苦しさの残る映画である。 『オマールの壁』はパレスチナで生まれた映画であり、パレスチナ問題という枠で評価さ

    映画『オマールの壁』が映すもの(1)パレスチナのラブストーリーは日本人の物語でもある
  • 強権の崩壊は大卒失業者の反乱で始まった【アラブの春5周年(上)】

    2011年2月11日夕、ムバラク大統領の辞任が発表され、カイロのタハリール広場で喝采を上げる若者たち=川上泰徳撮影 民主化への期待から混乱へ 「アラブの春」から5年が経過した。2011年2月11日はエジプトでムバラク大統領の辞任が発表された日であり、1月25日にデモが始まって18日目だった。当時、私は毎日のように広場に通って取材をしていた。辞任が発表された時、私はちょうどタハリール広場を離れたところだったが、すぐに広場に戻って、群衆から喝采が上がっているのを見た。大学で中国語を勉強しているという学生が「私は大学を卒業したら中国や日、欧米に行くことばかり考えてきた。いま初めてエジプトに残って、この国のために働こうと考えている」と語ったのを覚えている。 「アラブの春」を思い出すたびに、あの大学生の言葉を思い出す。あれから5年たって、中東はとどまることを知らない混乱の中にある。エジプトでもムバ

    強権の崩壊は大卒失業者の反乱で始まった【アラブの春5周年(上)】
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