人工知能(AI)を使って作成した本物と見まがうほどにリアルな映像、いわゆる「ディープフェイク」が社会に及ぼす影響に対する懸念が強まっている。しかし、ディープフェイクの真の脅威は、偽情報を人々に事実だと思い込ませることよりはむしろ、事実を事実だと信じられなくさせることにあるという。 by Karen Hao2019.10.18 163 59 4 8 それは2018年の年末のことだった。ガボン共和国のアリ・ボンゴ大統領が数か月のあいだ人々の前に姿を見せておらず、一部の国民は、大統領は病気を患っているのか、本当は亡くなっているのに政府が事実を隠蔽しているのではと疑い始めた。政府は憶測の広まりを止めるべく、大統領は脳卒中に見舞われたが大事には至らなかったとの声明を出し、その後まもなくして、新年の挨拶を述べる大統領の映像を公開した。 ところが、その映像は緊張緩和とは全く逆の効果をもたらした。多くの人
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