大学に入るまで実家にいた私に、母はいつも父の愚痴をこぼしていた。 私と母は友達同士の様な関係だったから、私自身、それほど父に反感を持っていたわけじゃないけれども、なんとなく同調してそれを聞いていた。 大学を卒業して働き始めた今、母の父に対する愚痴は暇だったからこぼれてくるのだとしか思えない。母は専業主婦だ。 些細などうでもよいこと、いつもテレビを見てばっかりだとか、台所の使い方だとか、お風呂の片付けだとか、そんなことで母はぐちぐちと父の文句を言っている。働く様になって、心底思う。母よ、さっさと家の外に出て働いてこい、自分の小遣いだけでも稼いでこい。暇だからそんなどうでもいいことでいらいらできるんだ。 父が哀れだ。 今日、私は毎日の終電帰りに耐えきれず、仮病で会社をさぼってしまった。部屋でぼーっとしながら、母の愚痴を思い出して、いらっとした。