【バンコク=柴田直治】政情不安が続くタイで、政局の混乱を議会制の枠外で解決する「タイ式民主主義」が今回も発動された。司法が政権を崩壊させ、反政府団体・民主主義市民連合(PAD)は空港占拠の解除を決定。異常事態はひとまず解消されるが、社会の対立と分断は残ったままだ。焦点は次期首相の指名。PADはタクシン元首相派の首相が誕生すれば再び街頭活動を始めるとしており、収束への道筋は見えない。 PAD幹部らは2日夜、そろって記者会見し「目的を達した」と勝利宣言をした。プミポン国王が軍のパレードでの演説で「国民は団結を」と呼びかけた直後。空港から即時撤退しないのは、数千人の支持者に夜通しの「祝賀会」の機会を与えるためだ。 だが、PADが自力でつかんだ「勝利」とは言えず、立役者は司法だった。 2日早朝、バンコクの憲法裁判所前に政府の支持者約500人が集まり、抗議を始めた。憲法裁は手回しよく約20キロ