マーケット関係者の話として、米国が2度目の量的緩和(QUANTITATIVE EASINGから「QE2」。クイーンエリザベス2世号をもじっている)によって、余ったカネが海外に流れて、新興国の食料価格や商品価格の高騰を招いているといわれる。 マスコミの識者もそう解説するし、マスコミもうのみにして報道する。さらに、中東の動乱までQE2のせいであるという人まで出ている。 中東の動乱はさておき、QE2のカネ余りが新興国に流れたという見方は、マクロ経済学から見るとかなり問題だ。QE2がどう影響するのか。 米国が金融緩和すると各国の通貨に対して相対的にドルが多くなる。するとドルの希少価値が低下して各国通貨に対しドル安になる。これは、為替決定理論のマネタリーアプローチと呼ばれる。投資家のジョージ・ソロスも重用し、古くからの購買力平価説とも整合的なものだ。 すると、変動相場制の国では自国為替が高く