◆IPCCと異なる見解 「地球は間違いなく寒冷化に転じると思いますよ」 大気海洋地球物理学者の中村元隆さんは断言する。海洋研究開発機構の主任研究員だ。 早ければ数年後に、北半球が寒冷化に向かう変化が起きる可能性が高いという。そうした予測を含む研究論文を6月末に発表している。 国連の「気候変動に関わる政府間パネル(IPCC)」による最新版の将来予測とは、真反対の見解だ。 IPCCは今世紀末までに最大ケースで2・6~4・8度の気温上昇を予測している。 中村さんも二酸化炭素などによる温室効果を認めているが、それを打ち消す気温の低下を見込んでいるのだ。 北半球の寒冷化を予告することになった論文名は「グリーンランド海の表面水温変化とそれに伴う北半球の気候変容」。意外なことに、内容のポイントは1980年ごろからの温暖化への転換点の解明なのだ。 ◆寒冷化危惧した70年代 団塊の世代以上の人なら覚えている