中国からの資本逃避(キャピタルフライト)が加速している。昨年の流出額は「過去最悪」の1兆ドル(約121兆円)に達し、世界最強の投資家、ジョージ・ソロス氏の「ハードランディングは不可避」との警告が現実味を増す。日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁からは「資本規制」の実施を突きつけられるが、この「禁じ手」を導入すれば人民元の国際通貨化やアジアインフラ投資銀行(AIIB)など習近平政権の構想も破綻しかねない。 中国からの資本流出額が昨年末に急増し、2015年全体で1兆ドルに達したと報じたのはブルームバーグ。流出額は14年の1343億ドル(約16兆2600億円)の7倍余りにふくらみ、06年からのデータ推計以降、過去最悪だという。同時に人民元に対する弱気心理も広がっており、輸出企業がドル資金を人民元に替えずに保有を続けるなど「人民銀の外貨準備に減少圧力がかかっている」とエコノミストの分析も紹介している。