中東などから押し寄せてくる難民の波に翻弄されるヨーロッパの国々。難民受け入れの旗振り役であるドイツで、その流れに反対する声が大きくなり、混乱に拍車をかけている。一体どうしてこんなことになってしまったのか。ドイツ・シュツットガルト在住の作家、川口マーン惠美さんに寄稿してもらった。 メルケル首相のお膝元で厳しい審判 「過去数か月に行った根本的な決定は正しいと信じている」 中国・杭州で開かれていた20か国・地域(G20)首脳会議に出席していたドイツのメルケル首相はこう言うのが精一杯だった。9月4日に旧東独のメクレンブルク・フォアポンメルン州で行われた州議会選挙で、メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)が大敗北を喫したことへのコメントだ。この州はメルケル首相の選挙区でもある。 敗北の原因は明らかだ。メルケル首相が推し進めてきた「寛容な」難民受け入れ政策に対する反発が高まっているのだ。メルケル首