「倭の五王」讃・珍・済・興・武が、中国南朝と交流を深めた五世紀はどのような時代だったのか。銅鏡や古墳の変遷、中国史書や記紀、銘文刀剣などの出土文字資料により、考古学と文献史学の双方から考察する。さらに執筆者たちによる、研究の最前線での討論を収録。東アジアの情勢を視野に、豪族の割拠した列島社会と、南朝遣使の実態を論じる。 序章 倭の五王の時代を考える…辻󠄀田淳一郎 第一章 同型鏡からみた倭の五王の時代…辻󠄀田淳一郎 はじめに―古墳時代の鏡と日本の古代国家形成― 一 同型鏡群の製作地と製作背景をめぐる諸問題―同型鏡群の「特鋳説」― 二 同型鏡群の授受と「人制」:「参向型」一類と二類 おわりに コラム 同型鏡群の鈕孔形態と製作技術…辻󠄀田淳一郎 第二章 倭の五王の南朝遣使とその背景…田中史生 はじめに 一 東晋に遣使朝貢した「倭国使」をめぐって(論点1) 二 中国官爵の意味をめぐって(論点