清少納言はなぜ『枕草子』を書いたのか。 中宮定子への忠誠心とはいかなるものだったのか。 紫式部とは仲が悪かったのか。 多彩な史料・文献を駆使して、幼少時代、恋愛と結婚、宮廷生活、長徳の変の伊周と高階明順の逃亡への関与、晩年の隠棲地のほか、『枕草子』の成立と享受について14の新見解を提示し、その波乱に満ちた生涯と人物像に迫る。 和歌・漢文日記等に読みやすい現代語訳、専門用語に注記を付した。 はじめに 第一章 なぜ清少納言は『枕草子』を書いたのか 一 『枕草子』への招待 連想の展開と思考リズムの表象 二 『枕草子』の「森」と「物語」 三 『枕草子』のなりたち 四 『枕草子』の同時代読者 第二章 『枕草子』受容の前近代と近代 一 清少納言批評史と池田亀鑑 二 結節点の一九七〇年代 三 清少納言受難時代 四 清少納言像の現代 第三章 清少納言前史 一 村上の御時 二 安和の変 三 寛和の変 第四章