ソニーがVAIO事業から撤退する――このニュースは少なからぬPCファンを動揺させた。’97年のデビュー以来、物欲をそそるモデルを発表し続け、われわれの財布を脅かしてきた輝かしいブランドに、一体何が起きたのか? ◆VAIOはなぜ凋落していったのか 「VAIOが決定的に変わってしまったのは’09年以降です。’08年9月のリーマンショックを受けて先進国が伸び悩み、まだ成熟していない新興国マーケットを開拓しようとした結果、それまでの“普通のPCではないユニークな製品”というコンセプトから、“幅広く受け入れられやすい中庸な製品”というコンセプトへシフトしてしまった」と解説するのは、ITジャーナリストの本田雅一氏。 「ですが、幅広く受け入れられる製品なら、別にソニー製品でなくても構わないわけです。コスト的にも、販売台数580万台のVAIOが、5800万台クラスのレノボやHPに太刀打ちできるわけがない。