ダム計画を中止した後も水没予定地の住民への国の補償措置を明確にする新法について、前原誠司国土交通相は11日の記者会見で、来年の通常国会への法案提出を見送ることを表明した。前原国交相は9月に川辺川ダム(熊本県)を視察した際に来年の通常国会への提出を表明していたが、新たな治水の基準を検討して個別のダムを再検証する手続きを踏むため、再来年以降にずれ込む見通しだ。 国交省は現在、ダムに頼らない新たな治水の基準を有識者会議で検討中で、来夏までに新基準を決めた後、個別のダム計画に基準をあてはめて、中止か継続かを再検証する。前原国交相は11日、八ツ場ダム(群馬県)は再検証の対象とするため、最も早く中止されるダムは蒲島郁夫熊本県知事が計画の撤回を表明している川辺川ダムになると指摘。「川辺川ダムを中止のモデルケースとして補償をつめていくことになる」と述べた。