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ブックマーク / blog.tatsuru.com (337)

  • 『困難な成熟』文庫版のためのあとがき - 内田樹の研究室

    困難な成熟 文庫化あとがき みなさん、こんにちは。内田樹です。 「困難な成熟」が文庫化されることになりました。 夜間飛行というほんとうに小さな出版社がとうとう文庫まで出すようになったことに、まずお祝いを申し上げたいと思います。できるだけ多くの人に読んでほしいと思っていつも書いていますので、文庫化されて、多くの人が廉価で読めるようになることは僕にとってもたいへんありがたいことです。 このは、「成熟」とか「自己陶冶」とか「大人になる」ということがもはや人々にとってそれほど喫緊の課題ではなくなった時代の風潮に対する僕からの提言です。 もちろん「大人のナントカ」とか「いぶし銀のなんちゃら」とかいうようなコピーを掲げて、「バーでワインを頼む時の心得」とか「こういうスーツではタイはなんとかでなければならぬ」とかいうようなことを書いている人は今も掃いて捨てるほどいますけれど、僕が論じようとしている「

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    D-S-C-H 2017/11/26
  • 日本。長髪とフォークの思想 - 内田樹の研究室

    11月22日付けのLibération に日の70年代ポップスについてのOlivier Lammという署名入りの長文の記事が掲載された。 はっぴいえんどの四人の写真が掲げられた記事を見てびっくりした。なんで「リベラシオン」にはっぴいえんどが出るんだと思って記事を読んだら、まことに興味深い内容だった。 You Tube のせいで今は世界中のあらゆる時代の楽曲を好きなだけ聴けるようになったわけだけれど、その過程でヨーロッパのユーチューバーたちは偶然日の60~90年代のポップスを「発見」したのである。そして、そのクオリティの高さにびっくりした。 「日ポップス、すげえ」と思ったプロデューサーが日ポップスの網羅的なコンピレーションアルバムを作成する企画を出し、それが実現したという話である。 その経緯を知ったオリヴィエ・ラムさんという日ポップス大好きなフランス人が「日のポップスは1970年

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    D-S-C-H 2017/11/24
  • 『変調「日本の古典」講義』まえがき - 内田樹の研究室

    はじめに みなさん、こんにちは。内田樹です。今回は安田登さんとの『論語』と能楽をめぐる対談です。 安田さんとお話するのは、僕にとって最大の楽しみの一つです。とにかく安田さんも僕も「変な話」が大好きなので、どんなトピックでおしゃべりしていても、「話がきちんとした合理的な結論に到達しそうな道」と「話頭は転々奇を究めて、何が何だかわからない話になってしまいそうな道」があると、必ず後の方を選んでしまいます。結論とか教訓とか一般性とか、そんなことははっきり言ってどうでもいいんです。それより、安田さんからこれまで一度も聞いたことのない話を聞きたい、自分もこれまで誰にも言ったことのない話(これまで一度も僕の脳裏に浮かんだことのない話)をしたい。そういう対話相手って、なかなかいません。 もちろん、「変な話」をする人は世の中にたくさんいます。でも、そういう人たちはしばしば自分の話に夢中になると、こちらの話

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    D-S-C-H 2017/11/24
  • 吉本隆明1967 - 内田樹の研究室

    鹿島茂先生の『吉隆明1968』(平凡社ライブラリー)の解説を書いた。 みなさんにぜひ読んで欲しいであるので販促のために解説だけ公開。 たいへん面白く読んだ。吉隆明の解説書としては、これまで書かれたものの中で最高のものの一つだと思う。これから吉隆明を読む人にとっては絶好のブックガイドであるし、これまで吉を久しく読み込んできた人にとっても「なるほど、あれは『こういうこと』だったのか」と腑に落ちる解釈がいくつもあると思う。書が今後ひさしく吉隆明研究の必須のレフェランスとなるだろうと私は確信している。 というくらいで「帯文」としては十分なのだが、頼まれたのは「解説」なので、話は少し長くなる。鹿島先生がどうしてただ「吉隆明研究」とか「吉隆明論考」ではなく「吉隆明1968年」という年号入りのタイトルを撰したのか、その理由について以下にひとこと私見を述べて解説に代えたいと思う(今、「

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    D-S-C-H 2017/11/11
  • 大学教育は生き延びられるのか? - 内田樹の研究室

    ご紹介いただきました、内田でございます。日は、国立大学の教養教育の担当の人たちがお集まりになっていると伺いました。ずいぶんご苦労されてると思います。日々当に胃が痛むような、苛立つような思いをしていらっしゃると思います。今回のご依頼をいただいたとき、かなり絶望的な話をしようと思ったんですけども、先ほどみんなを励ますようなことをお話しくださいと頼まれましたので、なんとか終わりの頃には少し希望が持てるような話にできればと思っています。 「大学教育は生き延びられるのか?」という問いの答えは「ノー」です。それは皆さん実感してると思います。大学教育は生き延びられるのか。生き延びられないです。今のまま状況では。 でも、仕方がないと言えば仕方がないのです。急激な人口減少局面にあり、経済成長の望みはまったくない。かつては学術的発信力でも、教育水準でも、日の大学は東アジアの頂点にいましたけれ。でも今はも

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    D-S-C-H 2017/11/04
  • 橘真さんのこと - 内田樹の研究室

    橘真さんが亡くなった。 数年前から癌で闘病生活を過ごしておられたけれど、今年の五月に『哲学するレストラトゥール』という著書を出した後、グランフロントで江さんと対談したりしたので、病と折り合いながら、これからじわじわと多彩な活動を展開してくれるのだろうと期待していた矢先の訃報だった。 橘さんとはじめて会ったのは『ためらいの倫理学』が出た直後2001年の秋のことで、その頃『Meets regional』の編集長だった江弘毅さんとお二人で岡田山の僕の研究室を訪ねてくれたのである。頂いた名刺で江さんが雑誌編集長だということはわかったので、たぶん原稿の依頼だろうとは思っていたけれど、橘さんが何者だかはわからない。 その江さんはその話はひとこともしないでアジサカコウジさんから届いたという『ためらいの倫理学』の感想文(巨大ポスターの裏にサインペンで書いてあった)を見せてくれた他は最初から最後まで江さんが

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    D-S-C-H 2017/10/25
  • 機と座 - 内田樹の研究室

    ある媒体に「武道と能楽」というテーマでエッセイを寄稿した。 ほとんどは「いつもの話」だが、「機と座」については、稽古のときには時々語るけれど、書き物にしたことはない。この機会に合気道の道友たちに読んでもらうつもりでネットに上げておく。 合気道という武道を40年、観世流の能楽20年稽古してきた。いずれも「日暮れて道遠し」だが、この二つの技芸の連関をそれぞれの実践者という立場から語る人があまりいない。この立ち位置を奇貨として、二つの領域の「あわい」から見えるものについて一言書きとめておきたい。 武道と能楽の間には深い繋がりがある。今でも私たちが容易に手に取るこのできる最古の武道の伝書の一つ、柳生宗矩の『兵法家伝書』は能楽の比喩がたいへんに多い。代表的な箇所を引く。 「あふ拍子はあしゝ、あはぬ拍子をよしとす。拍子にあへば、敵の太刀つかひよく成る也。拍子ちがへば、敵の太刀つかはれぬ也。敵の太刀のつ

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    D-S-C-H 2017/10/14
  • 昨日の朝日新聞への寄稿 - 内田樹の研究室

    昨日(10月2日)の朝日新聞にやや長めのコメントを寄せた。 総選挙について。日替わりで事件が起こるので、書いた段階では立憲民主党の結党のニュースはまだ知られていなかったので、それについては言及がない。 北朝鮮ミサイル問題で政権の支持率が回復し、野党第1党の民進党は離党ドミノで弱体化しているのを好機と見て、安倍晋三首相は国会解散を決めました。 ところが、思いがけなく小池百合子・東京都知事の新党が登場し、そこに民進党が合流することになって、いきなり自民党は政局の主導権を奪われてしまった。 しかし、個人的にはこのカオス的状況を歓迎する気分にはなれません。 民進党の議員たちはこれまで主張してきた「安保法制反対・改憲反対」を棄てて180度逆の立場に立たなければ公認されないという「踏み絵」を踏まされようとしています。新党は反立憲・独裁志向の安倍自民党のさらに右に、自民党以上に新自由主義的で排外主義的な

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    D-S-C-H 2017/10/07
  • こちらは「サンデー毎日」没原稿 - 内田樹の研究室

    こちらは「サンデー毎日」の没原稿。 9月末日締め切りで、9月19日に書き上げてのんびりしていたら、解散、小池新党、民進党解党、希望維新連携、立憲民主党結党・・・と文字通り政局が日替わり。おかげで「北朝鮮と安倍政権」という論の枠組み自体にまったくニュースとしての鮮度がなくなってしまった(北朝鮮のミサイル攻撃が明日にでもあるぞ、というあの官邸の煽りは何だったんだろう)。 でもまあ、書いたわけなので、このまま筐底に腐らせるよりは日の眼を見せてあげようということで、ブログにて公開。 北朝鮮の核実験とミサイル発射によって東アジアの軍事的情勢が緊張度を増している。「米朝もし戦わば」というようなシミュレーションを妙にうれしげに語っている専門家たちがいる。戦争が始まるというのがそんなにわくわくすることなのだろうか。日の国土にミサイルが着弾して多くの死傷者が出たり、稼働中の原発が被弾したりするリスクを考え

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    D-S-C-H 2017/10/07
  • 奉祝「エイリアン・コヴェナント」封切り - 内田樹の研究室

    リドリー・スコットの『エイリアン・コヴェナント』がいよいよ公開される。 20年くらい前に、『エイリアン』をネタにした映画論とフェミニズム論をいくつか書いた。昔のHPに公開されていたが、今はもうリンクが切れてしまっているので、ネットでは読めなくなった。筐底から引き出して埃をはらってネット上で公開する。何かのコンピレーションに収録されて活字化されたと思っていたが、『映画の構造分析』にも『うほほいシネクラブ』にも収めていなかったので勘違いかもしれない。 最初の『エイリアン・フェミニズム』は1996年に神戸女学院大学の紀要に書いた論文である。『ジェンダー/ハイブリッド/モンスター』はその2,3年後にやはり紀要に書いた。その頃は紀要しか掲載する媒体がなく、「読む人は5人」と言われる学内紀要にたくさん論文を書いていた。大半はその後活字化されてで読むことができるようになったから、なんでも書いておくもの

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    D-S-C-H 2017/10/02
  • ガーディアンの記事から「東京五輪買収疑惑に新たな局面」 - 内田樹の研究室

    9月13日付のイギリスの「ザ・ガーディアン」がリオと東京の五輪招致にIOCの票の買収があった容疑について新展開があったことを報じた。以下が記事。 リマでの総会で2024年パリ、28年ロサンゼルスでの五輪開催を決定したニュースに世界の耳目が集まることを期待していたその日に、2016年リオ、2020年東京五輪の招致チームによる買収容疑についての新たな疑惑をIOCは突き付けられた。 二つの開催地が決定した直後に汚職スキャンダルの渦中の人物が高額の時計や宝石を購入していたという調査結果が出て、この二都市の決定についてさらなる調査が開始されることになった。この事実がIOC総会での2024年、2028年の開催地決定セレモニーに暗い影を落としている。 『ガーディアン』紙は資料を精査して、信用を失墜した前IOC委員ラミーヌ・ディアクの息子パパ・マッサタ・ディアクがリオと東京の招致キャンペーンの前後にフラン

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    D-S-C-H 2017/09/15
  • 若者の政治参加についてのアンケートにお答えした - 内田樹の研究室

    高校生からこんなメールが届いた。 「突然ですが、メールにて失礼致します。 現在、私の学校では『答えが無い問題の解決策を探求する』というテーマのもとで、各グループに分かれて、経済や医療等の様々なジャンルから、テーマ設定をし、課題研究活動を行っています。 私のグループでは、『学生運動とこれからの政治参加』という主題で、60年代安保闘争から、SEALDsの活動まで、国内外の政治運動の比較を通じ、今後の政治参加には何が必要かという事を研究しています。 その活動を進める中で、いくつか浮かんできた疑問について意見を聞かせて頂きたく、メールを送らせて頂きました。 以下、質問事項になります。 〈質問1〉 民主党は野党として機能していると思いますか。 又、野党のあるべき姿とは、どのようなものだと考えますか。 〈質問2〉 現代の、10代~20代の若者は政治への関心が高いと思いますか。 可能であれば、理由も教え

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    D-S-C-H 2017/09/14
  • 米朝戦争のあと - 内田樹の研究室

    7月に、ある雑誌のインタビューで、米空母の半島接近で、北朝鮮アメリカの間で戦端が開かれる可能性はあるでしょうか?という質問が出ました。 戦争が始まる可能性はあるのか。あるとしたら、どういうかたちになるのか。その後何が起こるのかについて、そのときこんなことを申し上げました。 米朝戦争ということになれば、アメリカはすぐにICBMを打ち込んで、北朝鮮は消滅することになると思います。 でも、北朝鮮が消滅する規模の核攻撃をしたら、韓国中国ロシアにまで放射性物質が拡散する(日にも、もちろん)。朝鮮半島や沿海州、中国東北部の一部が居住不能になるような場合、アメリカはその責任をとれるでしょうか。 空母にミサイルが当たったので、その報復に国を一つ消滅させましたというのは、いくらなんでも収支勘定が合いません。人口2400万人の国一つを消滅させたというようなことは、さすがに秦の始皇帝もナポレオンもやって

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    D-S-C-H 2017/09/04
  • シンギュラリティと羌族の覚醒 - 内田樹の研究室

    安田登さんをお招きして、ご高著『あわいの時代の「論語」』刊行記念3時間セミナー(ほぼしゃべりっぱなし)というイベントを凱風館で開いた。 頭の中に手を入れて引っ掻き回されるようなわくわくする経験だった。 備忘のために、すごく興奮した話題を一つだけ書き止めておく。 それはsingularityはAIが人類史上初めてではなく、3回目という話。 一度目は数万年前に頭蓋骨が巨大化したとき、二度目は文字が発明されたとき。 その時、安田さんから周りの人たちと「文字が発明されたときに、文字がなかった時代と何が変わったのか?」相談してみてくださいと言われて、隣に座っていた光嶋くん、神吉君、浅野パパと3分間ほどブレーンストーミングをした。 文字の出現というのは脳内に記憶しておくべきことを外部記憶装置に転写することができるようになったわけだから、脳内の「デスクトップ」が広く使えるようになったというのがとりあえず

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    D-S-C-H 2017/09/02
  • 北星学園での講演 - 内田樹の研究室

    7月22日に北星学園での研修会で講演した。その講演録の文字起こしが終わった。学園の内部資料として配布されるはずだけれど、教育についての持論を展開しているうちに、だんだん加熱してきて、ぷりぷり怒り出しているところが面白かったので、ここに公開することにする。 おはようございます。ご紹介いただきました内田です。 ご紹介の通り、私は神戸女学院大学というミッションスクールの女子大に21年間勤務しておりました。こういう感じの研修会、前任校では「リトリート」というのが毎年ございました。久しぶりに今日、讃美歌を歌って、チャプレンのお祈りをいただいてから、こういう集まりを持つ機会を持ち、たいへんに懐かしい気持ちがいたしました。 リトリートというのは、ミッション系の学校によくありますが、文字通りリトリートです。引きこもりです。世俗の活動をいったん停止して、沈思黙考する時間を持つ。そういう意味だとチャプレンから

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    D-S-C-H 2017/08/31
  • 釈先生の仏教伝道文化賞・沼田奨励賞受賞のお祝い - 内田樹の研究室

    仏教伝道協会の今年度の「仏教伝道文化賞・沼田奨励賞」の受賞者が釈徹宗先生と決まった。先生のご紹介のための一文を協会から依頼されたので、釈先生の法力について書いた。 釈先生、受賞おめでとうございます。 第五回涙骨賞(『不干斎ハビアン 神も仏も棄てた宗教者』、新潮選書、2009年)、第五回河合隼雄学芸賞(『落語に花咲く仏教 宗教と芸能は共振する』、朝日選書、2017年)に続く受賞を心からお祝い申し上げます。 これまでの賞は宗教学者としてのお仕事に対するものでしたが、今回は僧侶としての活動に対するものですので、お喜びもひとしおだろうと拝察します。 釈先生は「文武両道」ならぬ「僧学両道」をみごとに実践されています。それについて見聞の一端を語ってお祝いの言葉としたいと思います。 釈先生とのご縁は共同研究から始まりましたので、実は先生の僧侶としてのたたずまいがどういうものかは、わが家で亡父のお盆のご回

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    D-S-C-H 2017/08/28
  • 変節と変態について - 内田樹の研究室

    信州岩波講座というイベントで加藤典洋さんとご一緒した。「変わる世界 私たちはどう生きるか」という総合テーマでの連続講演の第二回目である。 主宰は岩波書店と信州毎日新聞と須坂市。もうずいぶん長いこと続いているイベントとのこと。 加藤典洋さんが「どんなことが起こってもこれだけは当だ、ということ 激動の時代と私たち」というお題で1時間、僕が「帝国化する世界・中世化する世界」で1時間。その後対談と質疑応答。 加藤さんは「どんなことが起こっても『これだけは当だ』と言い切れる」腹の底にしっかりすわっている身体実感と、「こういうふうに考えるのが正しい」という叡智的な確信の間のは必ず不整合が生じると言う。 それを二階建ての建物に喩えた。身体実感が一階部分、知的確信が二階部分に当たる。 その二つが一致しているように思える時もある。けれども、歴史的与件が変わると、二階部分が現実と齟齬するということが起きる

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    D-S-C-H 2017/08/28
  • 「経済成長という呪い」 - 内田樹の研究室

    ダニエル・コーエンの『経済成長という呪い』というを車中で読んでいる。経済成長の鈍化と21世紀の世界についての分析である。 中心的な問いの一つは、なぜデジタル革命は経済成長に大きな影響を与えなかったのかというものである。 20世紀の発明、白熱電球、無線電信、内燃機関、電話、映画などは人々の生活を一変させ、大きな経済成長をもたらした。 でも、インターネットは消費者の日常生活のありようを大きく変えはしたけれど、経済成長への影響は限定的なものにとどまった。 なぜか。 理由の一つはインターネットのサービスが基的に無料だということである。 インターネットで金儲けをしようと思ったら、「オールド・エコノミー」の手法に戻らなければならない。ネットを広告媒体に使ったり、関連商品に誘導したりするのは、ハイウェイの路肩にペンキで手書きの看板を立てるようなものである。 それに、インターネット関連ビジネスはあまり

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    D-S-C-H 2017/08/28
  • 英語の未来 - 内田樹の研究室

    このところTwitter中心の発信で、ブログにまとまったことを書くということをしていなかった。締め切りに追われて、それどころじゃなかったのだけれど、やはりブログの更新が滞ると寂しいので、今日からまた再開することにした。 以前は毎日のようにブログにエッセイを書いていた。 前にも書いたけれど、これはバーナード・ショーに学んだ。 ショーは毎日『タイムズ』の読者からのお便りコーナーに投稿することを日課としていた。『タイムズ』は毎日バーナード・ショーから無料エッセイが届くのだからありがたい限りであるけれど、それでも毎日「読者のお便り」コーナーに掲載するわけにはゆかない。ときどき掲載して、残りは没にしていた。 でも、ショーは原稿をタイピングするときにコピーを取っておいて、投稿したものが何年分かたまったところで、それを出版社に持ち込んでにした。 「なんと無駄のない人生であろう」とぱしんと膝を打ち、それ

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    D-S-C-H 2017/08/26
  • 気まずい共存について - 内田樹の研究室

    今年の5月17日に中央公会堂で開かれた「大阪のことを知ろう。市民大集会パート2 大阪問題」というイベントの基調講演で「みんなのそばにある大阪のモヤモヤ」という演題を頂いて15分間の大急ぎスピーチをした(そのあと若静紀さんのイベントのゲストという仕事があったのでほんとにケツカッチン)。そのときの講演が文字起こしされてきたので、ここに採録。 結論から言うと「モヤモヤしてる」っていうのは、そんなに悪い事じゃないと思います。むしろ問題は「すっきりしている」ということの方なんじゃないですか。 今の日の状況で一番僕が困っていることは、みんながシンプルで分かりやすい単一解を求めているということです。たった一つの「正解」があって、それを「選択」して、そこに全部の資源を「集中」するという「選択と集中」の発想をしたがる。だから、切り口上でまくし立ててくる。「この案に反対なんですか? 反対なら、対案出しなさい

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    D-S-C-H 2017/08/16