アレクサンドル・コジェーヴは1959年日本を訪れ、死後編集された「ヘーゲル読解入門」のなかで印象を語っている。 ポスト歴史の日本の文明は「アメリカ的生活様式」正反対の道を進んだ。おそらく、日本には語の「ヨーロッパ的」あるいは「歴史的」意味での〈宗教〉も〈道徳〉も〈政治〉もないであろう。しかし生のままのスノビズムがそこでは、「自然的」もしくは「動物的」所与を否定する規律を生み出していたのだ。 これは、その効力において、日本や他の国々において、歴史的行動から生まれたそれ、すなわち戦争と革命の闘争や強制労働から生まれた規律をはるかに凌駕していた。 執拗な社会的経済的な不平等にもかかわらず、日本人はすべて例外なくすっかり形式化された価値に基づき、すなわち「歴史的」という意味での「人間的」内容を全て失った価値に基づき、現に生きている。 このようなわけで、究極的にはどの日本人も原理的には、純粋なスノビ