中北浩爾【一橋大学大学院社会学研究科教授】 前原誠司民進党代表は、実に愚かな決断を行った。“All for All”を掲げ、熟議の党運営を標榜しながら、それをかなぐり捨てて希望の党への合流に走ったのだから。 言行不一致だけでない。一足早く民進党を裏切った細野豪志元環境相らの軍門に下り、同志たちの選別と排除を容認する。そんな不条理を「想定内」と言い放つ。政権交代可能な二大政党を作るためというのが、前原代表の言い分である。総選挙の結果は現時点では分からない。だが、小池百合子代表の人気という「風」頼みの希望の党が、中長期的にみて、強固な支持基盤を持つ自民党に対抗する政党に成長できるとは思えない。 地域に根を張り、多くの友好団体を抱える自民党に対抗する政党を作ろうとすれば、連合の総力挙げた支援を得るほかない。その点で、希望の党も立憲民主党も失格である。生活経済政策研究所に集う産別ですら足並みが乱れ