志ん板猫のおんせん(小林幾英 画)
雑兵とは、役の付いていない身分の低い兵士の総称。 歴史の教科書に載ることのない、時代劇で光の浴びることのない雑兵は戦国時代や江戸時代には数え切れないほどいたわけですが、江戸時代、そんな雑兵たちの体験談をまとめて、兵法書として発刊されたのが、今回紹介する「雑兵物語」です。 雑兵物語は江戸時代1673〜1684年(延宝、天和)頃に成立した書物と見られています。川越藩主であった松平信綱の子・信興の作と言われていますが確証はありません。記載された内容は非常に貴重な資料となるものなのだそうですが、イラスト作品としてみているだけでもとても楽しむことができるのもオススメポイント。 雑兵物語の文体は口語体で書かれており、雑兵たちの体験談や見聞が会話形式で記載されています。雑兵には鉄炮足軽や弓足軽だけではなく鑓担、馬標持、旗差、持筒、持弓、草履取などなど様々な兵士がおり、30人もの雑兵に関する話題が記されて
小さい頃、影絵で遊んだ経験はありますか?指や紙、時には体を使って、後ろから光を当てスクリーンに様々な形を投影する遊びで、日本ではこの遊びは江戸時代でも楽しまれていました。 そんな影絵を指南する江戸時代の書物「於都里伎(おつりき)」を紹介します。ただこの指南書、真剣に読み進めてはいけません。指南書と言っても真面目に影絵の方法を教えているわけではなく、完全な戯作。滑稽本の体なのです。 実際に内容を見ていただくと感じていただけると思いますが、そのおふざけっぷりの突き抜け感といったらありません。 無理ゲーだろこれwww 「於都里伎(おつりき)」の作者、実は十返舎一九(じっぺんしゃいっく)なんです。十返舎一九といったら江戸時代のベストセラー「東海道中膝栗毛」の作者として知られている大人気作家。画は喜多川月麿(きたがわ つきまる)という江戸時代の浮世絵師が担当しています。 於都里伎には19個の影絵のや
アメリカのスミソニアン博物館が所蔵する作品の中から4万点超の作品を画像ギャラリーとして公開しました。 さらに素晴らしいことにこれら公開されたコレクションが無料でダウンロードでき、非商用であれば再利用が可能とのことです。 公開されている作品は様々な国/時代のものがあり、もちろん日本の作品も浮世絵や日本画を始め数多く公開されています。 英語ページのため少し検索が分かりづらいと思いますので、日本の作品を探す方法を簡単に紹介しますね。 1、まず下記ページにアクセスします。 Search | Collections | Freer and Sackler Galleries 2、左のメニュー「Browse by」から「Place → Japan」を選んでください。そうすると日本の作品に絞った検索結果が表示されます。 浮世絵、日本画、陶器など様々な作品が結果として表示されていますので、メニューの「Ob
日本画の一つの流派である琳派。その琳派の発展に大きく貢献した人物、尾形光琳。尾形光琳の代表的な作品には風神雷神図や燕子花図などがあり、作品を一度は目にしたことがある人は多いと思います。 尾形光琳の作品は現在でもとても人気が高いですが、当時も相当な人気を誇っていました。作品的には浮世絵・錦絵が庶民の間で流行したのに対し、尾形光琳は作風的にも京都の富裕な町衆を主な顧客としていたそうです。 そんな尾形光琳の作品でしたから、彼を慕っていた絵師はそれは多かったでしょう。今回紹介する「中村芳中(なかむらほうちゅう)」という絵師もその一人。芳中は江戸時代中期から後期の琳派の絵師。琳派というと豪華絢爛で装飾的なイメージがありますが、芳中の作品はその中では異色とも言える画風。 芳中は尾形光琳が好きすぎるあまりになんと「光琳画譜(こうりんがふ)」という画集まで出版してしまいます。光琳という名前が付いているので
「耳鳥斎」。なんて読むかわかりますか?「にちょうさい(又は じちょうさい)」と読みます。 ではこれは何? 人物です。江戸時代に活躍した絵師の名前です。 耳鳥斎というネーミングはとってもユニークですが、ユニークなのはネーミングだけではありません。耳鳥斎の残した作品もまたユニークなんです。今回は耳鳥斎の作品をご紹介。 耳鳥斎は大阪で活躍していた絵師で狩野派の絵師に師事していたそうですが、彼の作品を見て狩野派の片鱗を見つけられる人はいるのでしょうか?というほど、流派など関係なく独特でユーモアな作品の数々。 耳鳥斎は主に面白く笑える「戯画」を制作していた人物で、作品のタッチが江戸時代の頃のものというよりも現代的なスケッチ画やイラスト、あるいは漫画のようなテイストで溢れているんです。 まずは耳鳥斎の作品の中でもとりわけユルさに溢れた作品集「絵本水や空(安永9年・1780年 )」の一部をご紹介します。
北尾政美という人物を知っている方はどれだけいるでしょうか?私もつい数日前に知ったばかりなのですが、江戸時代中期の浮世絵師です。 北尾重政に師事したのちに浮世絵師として活動をし、寛政6年には鍬形蕙斎(くわがたけいさい)と称し狩野派 狩野惟信に師事することとなります。後に今回紹介する作品「鳥獣略画式」を手がけました。ですので北尾政美の作品というよりは鍬形蕙斎の作品と言ったほうが正しいですね。 北尾政美は現在ではなかなか聞かない絵師ですが、当時は葛飾北斎と同時期に活躍し評価されていた絵師の一人です。 北尾政美の作品にはなかなか興味深いエピソードがあり、そのエピソードとは彼の描いた略画式シリーズ(鳥獣略画式のほかに人物略画式や山水略画式などあり)の作風を葛飾北斎が真似したというもの。しかも北斎が真似をし発刊した作品とは、現在でも人気の高い北斎漫画というから驚きです。 北尾政美の略画式は北斎以外の絵
地獄の世界を描いた「地獄絵巻」「地獄草紙」といった作品は数々描かれていますが、今回紹介する地獄絵巻の世界観がどう見てもユルいんです。地獄を描いているのにどこかキュートな鬼と人間の表情がたまりません。 地獄を描いた作品としては12世紀に描かれた地獄草紙がとても有名で、東京国立博物館、奈良国立博物館などに所蔵され国宝となっています。絵のテイストも地獄の惨さが伝わって来る作品です。幕末の絵師 河鍋暁斎の描いた数々の地獄・鬼の作品もとても人気が高いです。 紹介するのは、観象(かんしょう)という人物による写しの地獄絵巻。この作品明治初期に描かれた作品で、人間を描く線がすごくひょろひょろで可愛さすら感じます。 こんな面白そうな地獄だったら一度くらい覗いてみたくなっちゃう…かな? 観象(かんしょう)「地獄絵巻」ギャラリーを見る 紹介した明治初期に描かれた地獄絵巻は古典籍総合データベースで公開中です。PD
様々なアート作品がアーカイブされているスミソニアン・ライブラリーでとっても嬉しいデータが無料ダウンロードできることを知りました!アートやデザイン、ファッションに携わる方は絶対にダウンロードし手元に置いておいて損はありません。 以前「浮世絵や日本画も!博物館所蔵の4万超の画像を無料ダウンロードできるコレクションが素晴らしい!」という記事で無料ダウンロードできるコレクションを紹介しましたが、今回紹介するデータもすごいです。 それは明治時代にシリーズもので刊行されていた図案集「美術海」。当時のデザインの流行が反映された図案から古典的な文様、はたまたとてもオリジナリティ溢れる美しい図案まで素晴らしい図案集なんです。 新美術海は神坂雪佳と古谷紅麟 が携わった図案集で、彩り豊かで動きのあるデザインが盛りだくさん。古谷紅麟は神坂雪佳の後継者として期待された当時のデザイナーです。 当時のアート感覚を垣間見
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