タイの英字日刊紙『ザ・ネーション』(The Nation)が、48年の歴史に幕を閉じる。最初にそう報じたのは、同紙の記者たちだった。本年5月16日、かれらはFacebookに、「ついに、48年の歴史の最終章に入る」と別れの言葉を投じた。こうした動きを受けて、タイのオンライン・メディアは一斉に、The Nationの終刊を報じた1。「内部関係者の情報によれば、6月28日が最終号のようである」。当のThe Nationは、翌17日の朝刊で、ようやく自らの終わりを報じた。インターネットを通じた第一報から遅れること約一日。このギャップが、タイに限らず、世界中の新聞・雑誌を廃刊の瀬戸際に立たせる一因なのだろう。 「終刊」と言い切ることは、避けるべきかもしれない。というのも、印刷版の発行を停止した後もオンラインでの発信は継続するからである。第一報の同日中に、発行元Nation Multimedia G
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