日本では昨年暮れから新年にかけて、「年越し派遣村」がマスコミで大きく取り上げられた。国際人材派遣事業団体連合(CIETT)のデータによって、「労働者に占める派遣労働者の割合」を見ると、先進国の中で、日本とドイツの両国が過去10年間に派遣労働市場が最も急成長している。ドイツは今秋に総選挙を控え、急増する派遣労働者の処遇などが政策課題として浮上している(注1)。 2006年の派遣事業者数、先進諸国中4位 CIETT最新年の2006年データによると、世界の労働者派遣事業者総数(図1)は2万6000社(1996年)から7万7500社(2006年)と、過去10年間に飛躍的に増加した。事業者数が最も多いのは日本(3万6000社)で、これにイギリス(1万500社)、アメリカ(6200社)、ドイツ(5058社)が続く。増加率でみると約5倍に跳ね上がったオランダが最も大きく、約3倍の日本、約2倍のドイツ、イ
2000年前半に実施されたハルツ改革と呼ばれる一連の労働市場改革に対するドイツ国内の評価は、10年経った今でも分かれている。失業者を早期に職場復帰させる強化策が、失業者が大幅減少につながったとの評価がある一方で、僅少労働(ミニジョブ)などの低賃金労働者を増やし、社会の格差が広がったとの批判も根強い。 2002年8月に始動 就労促進を目的とする規制緩和や失業給付の見直しなど労働市場改革案を提示したのは、フォルクス・ワーゲン(VW)の労務担当役員であり、シュレーダー首相の顧問(当時)も務めていたペーター・ハルツ氏である。 2002年8月16日に発表されたこの労働市場改革案は、ハルツ氏の名にちなんで「ハルツ改革」と呼ばれ、ハルツ第Ⅰ法からハルツ第IV法の4段階に分けて広範囲に行われた。現在は、ドイツの労働・社会制度の大部分がハルツ改革の影響を受けているといっても過言ではない。 高失業率と硬直した
労働政策研究・研修機構(JILPT)は7月17日、ドイツ大使館のモニカ・ゾンマー参事官を講師として、海外労働情報研究会を開催した。以下にその講演の概要を紹介する。 モニカ・ゾンマー ドイツ大使館 労働・保健・社会保障問題担当参事官 はじめに ドイツでは過去15年間に、社会的に大きな変化があった。富める者は一層富み、貧しい者はさらに厳しい状態となり、貧富の二極化が進んでいる。ハルツ改革がこうした現状にどのような影響を及ぼしたのかについては、この講演後に皆様にご判断いただきたいと思う。 1. 政治・経済の文脈におけるハルツ改革 2000年代の初め、ドイツは―主要国の経済と比較すると―経済成長や失業率の面で、あまり成果が上がらない状況にあった。依然としてドイツ再統一の影響は顕著で、特に地域的な、新旧の連邦州間の深い溝が労働市場において顕在化していたという点も確かにあった。しかし、何よりもグローバ
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