現代詩作家 荒川洋治 読書の秋。秋の夜長、しずかに本を開く人も多いことでしょう。きょうは読書とは何かを論じた名著について語ってみたいと思います。 あまり本を読まない人も「読書について書かれた本」には、とても興味があるのです。 さまざまな本の内容や情報が記されているので、ガイドの役割を果たします。 自分が読んだ名作や古典について、その著者がどんなことを感じたかを知りたい。また、どんな作品が重要かもわかる。活字離れといわれながらも読書関連の本は、安定した人気を保っています。では、親しみのある一冊から始めましょう。草森紳一のエッセイ集『本の読み方』。子どもたちをはじめ、本を読む人たちの光景が、写真でも紹介されています。「本を読む風景というものがある。私はそれを見かけた時の気分を好む。心が和む」。 本を読んで、いちどでもよい思いをした人は同じ思いをもつ人のようすを知ることで、自分をたしかめた