中山間地域の持続可能なあり方を探ってきた連載企画「ムラは問う」。 連載を締めくくるとともに、都市とムラの新たなつながりを考えるシンポジウム「食と農 結い直しのとき」(中国新聞社主催)が二十八日、広島市中区の中国新聞ビルであった。 研究者や農民作家ら五人のパネリストが四百人を超す参加者を前に、「食と農」を切り口に意見を交換。地産地消、食育、そして都市と農村を結ぶ信頼関係の構築―。 ムラを再生し、潤いある食卓を取り戻す処方せんがいくつも飛び出した。討論を詳報する。(下山克彦、下久保聖司、山本洋子) <出席者>=敬称略 山口県立大大学院教授 小川全夫氏 福山平成大客員教授 鈴木雅子氏 消費社会研究家 三浦展氏 広島県農業協同組合中央会会長 村上光雄氏 作家・アジア農民交流センター代表 山下惣一氏 <コーディネーター>
今春から団塊の世代(一九四七―四九年生まれ)の大量退職が始まった。その数、六百八十万人。「農」のある暮らしにひかれる人も少なくない。片や、中山間地域では荒れ地が耕し手を待っている。 だが、双方のニーズは現実には、なかなか結びつきにくい。橋渡しの役割を担う「リンクマン」づくりが急務である。 「Let,s Enjoy!」。ブルーベリー農園の看板に、松浦二郎さん(60)は来園者と自分自身へのメッセージを込めた。瀬戸内に浮かぶ人口九千二百人の広島県大崎上島町。五年前、東京からIターン就農した。 約三十年前に島で栽培が始まったブルーベリー。一・二ヘクタールの農園を回り、松浦さんは「小さな実が宝石のようでしょう」と目を細める。ミカン畑も〇・七ヘクタール。農園や畑は、耕作放棄地や後継者不在の農地だった。 松浦さんは、東京でサラリーマンや飲食店経営を三十余年。農業は門外漢だったが、趣味はアウトドア
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