原爆ドームをめぐるアーティストらの試み たたずむ悲劇、そして希望を乗せて走り続ける電車 神田 もつら(2008-08-01 11:15) 広島市で生まれ、広島市で育った私にとって、原爆ドームは特別な存在だ。私の人格形成の何割かがあのドームによって作られたと言っても過言ではない。そのドームをテーマとした企画展が広島市現代美術館で行われると聞いて、急きょ、東京から帰省して観覧することにした。 私が広島市にいたころの原爆ドームは神聖視され、あがめられ、畏怖(いふ)の念を抱かれていた。今でもそうかもしれない。だから、今までに原爆ドームをテーマにした作品展があったとしても、それはまるで神を崇拝する信者が描く宗教画のようなものだった。 しかし、今回の「ドーム」は違う。 例えば、最も大きく取り上げられた作品は、小沢剛の「ベジタブル・ウェポン・スペシャル」だ。 一見すると、原爆ドームの前で銃を構