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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (18)

  • AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    『ハリー・ポッターと巨大な灰の山らしきものの肖像』 AIにハリポタ全巻喰わせて、新作を生成させたそうな。まあご覧あれ。 Botnik Studios こいつを見て、あまりに感動してしまいました。この支離滅裂、異常な構想力、唐突な破綻ぶり。デスイーターたちが何だか知らないけど無意味にやおいらしきものを始めるところ。人工知能には創造性がないとかいっている連中がいるけれど、これでも、あるいはアルファゼロの囲碁でもそうだけれど、むしろ人工知能が明らかにしているのは、ぼくたち人間の知能や創造性と称するものがいかに制約されていて、型にはまっているかということだと思う。ウィリアム・バロウズが人間の矮小な構成力とキャパシティでほんの片鱗だけやってみせたことを、人工知能は鼻くそほじりながら(比喩的に)一瞬でやってのけている。 追記:このプロセスについてもう少し詳しく見た人がいる。これは当にほぼカットアップ

    AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    Imamu 2018/01/10
  • 学校行ってもちゃんと勉強しないとダメよねー、というお話&日本の教育はゴミクズらしいぞ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Science 読んでたら、経済成長と教育の関係についての論文が出てたのでちょっと紹介。 Knowledge capital, growth, and the East Asian miracle Eric A. Hanushek, Ludger Woessmann, Science 22 Jan 2016: Vol. 351, Issue 6271, pp. 344-345 DOI: 10.1126/science.aad7796 http://science.sciencemag.org/content/351/6271/344.full 経済成長のためには国民に教育うけさせて人的資の質を上げないとダメだよねー、というのはもう言われすぎていてあたりまえの話になってるんだけど、でも一方で、同じ年数だけ学校に通ってるのに、東アジアは奇跡の大成長で、南米諸国はかなり出来が悪い。他のところで

    学校行ってもちゃんと勉強しないとダメよねー、というお話&日本の教育はゴミクズらしいぞ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    Imamu 2016/02/24
  • 反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はじめに 反知性主義をめぐるを3冊読んだので、その話をちょっと書こう。なぜそんなものを読もうと思ったかというと、『現代思想』の「反知性主義特集」に対するアマゾンのレビューがぼくのツイッターでちょっと話題になっていたからだ。 「彼らは反知性主義だ」と規定する知性は知性主義的なのか? ぼくはこの特集を読んでいないし、読むつもりもない。が、このレビューの主張はよくわかると同時に、この特集のスタンスについて疑問が湧いてきた。 というのも、このレビューを信じるなら、この特集での「反知性主義」というのは、「自分とちがう考え」のことらしく(たとえば原発推進とか安部政権評価とか)、そしてそれを「反知性主義」と呼ぶのは、要するに「バーカ」というのをご立派に言い換えているだけらしいからだ。 さて、まずぼくはこの手の言い換えが嫌いだ。ぼくはしばしば、バカをバカとはっきり言うので、性格が悪いとか下品とか言われる

    反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    Imamu 2015/08/21
  • 椹木『アウトサイダーアート入門』:いまさら何さわいでんの? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    アウトサイダー・アート入門 (幻冬舎新書) 作者:椹木 野衣幻冬舎Amazon まともなエスタブリッシュメントのオゲージュツカのアートに対して、キチガイや犯罪者が作ってしまった体制の外のアートがあるのだ、そういうのに注目してエスタブリッシュメントに対してそれをつきつけねばならない、という。 何騒いでんの、という感じ。 キチガイや犯罪者の作る作品があれこれもてはやされるって、昔からの話じゃないの? 耳切り落としたヤツとか、死刑囚で小説書いてほめられたやつとか、「狂気のナントカ」って昔から迫力ある芸術を誉める十八番の言い回しだし。 だから、アウトサイダー・アートなるものが存在し、そこに何か対立構造があって、という発想自体が今さらで古くさい。というか、世間的な評価はむしろ逆で、その「アウトサイダー・アート」的なものを昔から積極的にもてはやす風潮さえある。クスリやってましたとか、ゲイでしたとか、

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    Imamu 2015/04/27
  • ノスフェラトゥ訴訟 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    吸血鬼ノスフェラトゥ 《IVC BEST SELECTION》 [DVD] 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)発売日: 2011/06/24メディア: DVD クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 数年前に買った、ユニバーサルの古いホラー系映画コレクションを片端から見て、半漁人とオオカミ男とドラキュラとフランケンシュタインの代表的な派生品とかいろいろ見ているんだが、昔の映画当にシンプルにできていて「え、これで終わりかよ!」という感じで唐突に終わるなあ。 さてそれと関連しているわけではないが、無関係でもない小ネタを Fortean Times で読んで *1 、おもしろかったのでメモ。実はブラム・ストーカーがドラキュラを書いて、ムルナウはそれを映画化しようと思ったんだけれど、でも原作料とか支払うのがいやだったので、ドラキュラという名前を使わず、ちょっと話

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    Imamu 2015/04/22
    ぼんやりとしか知らなかった
  • 『ニュースウィーク』:当事者意識のない無惨な特集。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Newsweek (ニューズウィーク日版) 2015年 2/24号 [ピケティ狂騒曲] 出版社/メーカー: CCCメディアハウス発売日: 2015/02/17メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る ニュースウィークがピケティ特集。ぼくも寄稿している。各国の翻訳者に、それぞれの国でなぜピケティが流行ったかをきく、という企画だときいていたけど、実際には英訳者と朝鮮語訳者と日語訳者しか原稿を書かなかった模様。これは残念。ま、原稿料二万円なら仕方ないか。 でも何より残念なのは、この特集にうかがえる当事者意識のなさ。「ピケティ狂騒曲:ブームの賞味期限」と題して、あのが「格差是正に向けた議論を深めるか、それとも軽薄なブームで終わるか」と表紙にある。 しかしですねえ。それが軽薄なブームで終わるかどうかは、あんたらみたいな雑誌やメディアがそれをどう扱うか次第、でもあるでしょう。「格差

    『ニュースウィーク』:当事者意識のない無惨な特集。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    Imamu 2015/02/19
    Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 2/24号 [ピケティ狂騒曲]
  • 『現代思想』別冊ピケティ特集:いいでき、買って損なし。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    現代思想 2015年1月臨時増刊号◎ピケティ 『21世紀の資』を読む -格差と貧困の新理論- 作者: トマ・ピケティ,ポール・クルーグマン,デヴィッド・ハーヴェイ,スラヴォイ・ジジェク,浜矩子,橘木俊詔,竹信三恵子,伊藤誠出版社/メーカー: 青土社発売日: 2014/12/12メディア: ムックこの商品を含むブログ (6件) を見る はじめてこの『現代思想』ピケティ特集のニュースを見たときにまっ先に眼に飛び込んできたのは、紫ばあさんがなんか書いているということで、それだけでこれがとうていまともなもんじゃないな、と思うのは人情でしょう。 ということで、正直いって買うのさえためらっていたんだよね。でも買って良かった。もちろん雑誌の常として玉石混交なんだけど、玉の比率が非常に高い。以下にざっと: ピケティのインタビューが二 どちらも短いけれど、時事的なテーマも含め、聞くべき事(まともな人なら

    『現代思想』別冊ピケティ特集:いいでき、買って損なし。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    Imamu 2014/12/18
  • 落合『漢字の成り立ち』:明解。白川静や藤堂について客観的に評価がわかって嬉しい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    漢字の成り立ち: 『説文解字』から最先端の研究まで (筑摩選書) 作者: 落合淳思出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/04/14メディア: 単行この商品を含むブログ (12件) を見る わかりやすーい。漢字の歴史を概観し、これまでの字源の研究を批判的に振り返ったあとで、最新の成果をさっくり解説。非常に明解です。 特に、白川静の字源研究についてきちんと評価をしてくれているのは、ぼくにはとてもありがたかった。漢字というと、白川静信者がやたらにいて、『字訓』『字統』とかを聖書のごとくあがめる人がいっぱい沸いてくるんだけれど、ぼくは前からいま一つ信用できなかったのだ。それについては、こんなところに書いたことがある。「都」というのは、日が人の頭で、それを切り落として城壁に埋めたという、かつての呪術的な信仰のあらわれだ、というのはお話としてはおもしろい。でもそれが漢字の質かというと、ち

    落合『漢字の成り立ち』:明解。白川静や藤堂について客観的に評価がわかって嬉しい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 柳下『皆殺し映画通信』:一気に読んではいけません。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    皆殺し映画通信 作者: 柳下毅一郎出版社/メーカー: カンゼン発売日: 2014/03/20メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (11件) を見る 柳下の、ダメ日映画紹介。紹介されているクズ日映画のどれも、明らかにくだらなそうだけれど、柳下の紹介がうますぎてというべきか、かえってそのクズぶりがおもしろそうに見えてしまうというのが困ったもの。でもだまされて一でもうっかり機内で見たりすると(ガッチャマンとか)もちろんそういう迷いからは覚醒できます。 一、二の紹介は実におもしろくて笑って読んでしまうけれど、だんだん読むうちに、おなかいっぱいな感じで、さらに読み進むと、日映画ってこんなろくでもない代物しかないのか、と暗澹たる気持ちになるので、一気読みはおすすめしない。とはいえ、少しずつ読んでも日映画の傑作が増えるわけではないのは事実ではあるんだが。 ある意味で客

    柳下『皆殺し映画通信』:一気に読んではいけません。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ゴードン『ミシンと日本の近代』:抜群におもしろい。物販と金融と生産に消費、産業と文化と女性の社会進出、なんでもあり! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ミシンと日の近代―― 消費者の創出 作者: アンドルー・ゴードン,大島かおり出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2013/07/24メディア: 単行この商品を含むブログ (9件) を見る 読んでいる途中だが、抜群におもしれーわ、これ。ミシンの普及は掃除機や洗濯機と同じく、女は家庭で男は仕事、みたいな単純な性分業の一環として捕らえられがちだけれど、実は全然ちがっていて、ミシンによる内職を通じた女性の社会進出(自活)の一貫でもあり、またそれを使った日の繊維産業の発達の一貫でもあった。さらにシンガーミシンのための割賦販売というのが日における割賦販売の先駆であったんだけれど、ミシンの役割から見てこれはつまり、一種のマイクロファイナンスとしても機能していたわけだ。 さらにそれは、日における和装洋装論争にも関連しており、いまや見る影もない婦人誌(『主婦の友』とか)も一方でミシン販売に加担

    ゴードン『ミシンと日本の近代』:抜群におもしろい。物販と金融と生産に消費、産業と文化と女性の社会進出、なんでもあり! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • あらためて、オリンピックに経済効果なんかないこと。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    昔、Voiceに、オリンピックに経済効果なんかないし、無理して誘致すべきでない、というコラムを書いた。 オリンピックには経済効果なんかありません。(2007/05) 2007年の話で、ここで話題にしているのは、2016年リオデジャネイロオリンピックが選ばれたときの話。ぼくが言ったとおりアメリカ大陸になったでしょー。 で、その中で話題にしている研究というのは、以下のものだ。 Jeffrey G. Owen (2005) "Estimating the Cost and Benefit of Hosting Olympic Games: What Can Beijing Expect from Its 2008 Games?" The Industrial Geographer, Volume 3, Issue 1, p. 1-18 こうやっても君たちは読まないだろうから、ざっと訳してあげまし

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    Imamu 2013/09/10
    「同じお金を使って他のものを作ってもいいし、また完全雇用ならそれは他のプロジェクトから人や資源を奪う」「ポトラッチとしてやるというのであれば、御大尽遊びと割り切ってやるのであれば、それはそれで結構」
  • 鈴木『なめらかな社会とその敵』ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について、あるいはツイッターでなめ敵とかいって喜んでる連中はしょせんファシズム翼賛予備軍でしかないこと - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    なめらかな社会とその敵 作者:鈴木 健発売日: 2013/01/28メディア: 単行 未来のための社会像? 『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。そこからすれば評者は未開の土人だ。しかしその未開人にも、謙虚な筆致に隠れた著者の熱意と意気込みはわかる。新しい通貨システムの案出など、ジョン・ローの不換紙幣やデヴィッド・チャウムの電子通貨以来かもしれない。しかもその射程はそもそもお金の意味すら変え、社会自体の変革を夢見る遠大なものだ。 著者は、題名通りのなめらかな社会を夢見る。人々の有機的なつながりがたもたれ、様々な関係性の途切れない世界。現代のお金による取引はそれを荒っぽく分断する。投票も一かゼロかの粗雑な選択を迫る。だが、インターネットを使えば、お金も投票もまったくちがった形態を持ち得る。関係性を保ち、様々な評価のフィードバックもある通貨システムもできる。粗雑でない細やか

    鈴木『なめらかな社会とその敵』ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について、あるいはツイッターでなめ敵とかいって喜んでる連中はしょせんファシズム翼賛予備軍でしかないこと - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    Imamu 2013/03/26
    「ネットで孤立するインテリ都会人たちは、農村生活を美化し、つながりだのふれあいだのに憧れるのだ」
  • 長崎『革命の哲学』:左翼過激派運動の思想を、過去のものとしつつ思想史的にふりかえろうとするまじめな本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    革命の哲学――1968叛乱への胎動 作者: 長崎浩出版社/メーカー: 作品社発売日: 2012/11/24メディア: 単行購入: 10人 クリック: 441回この商品を含むブログ (3件) を見る 60年代安保から70年代に至る学生運動というのは、人によっては大仰にまつりあげてしまうし、人によってはまったく笑止と切り捨てる。自分がその末席(あるいは上席でもいいけど)に名を連ねていただけで、実践闘争の荒波にもまれた革命の闘士気取りになっちゃってるお調子者も多い一方で、その挫折をあまりに真摯に受け止めすぎて、こもってしまう人もいる。もちろん、実際にはそのお調子者ほど「頼むから黙ってて」的な泡沫で、黙っている人ほどもう少しあの時代の話をしてほしい人々だったりする、というのもいろんな場面で見られることではある。そしてそのお調子者どもは、最近のジャズミン動乱だの反原発デモだので、ついに自分の時代が

    長崎『革命の哲学』:左翼過激派運動の思想を、過去のものとしつつ思想史的にふりかえろうとするまじめな本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    Imamu 2012/12/19
  • 浜野『なんとかはキリストを超えた』:あきれた。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    前田敦子はキリストを超えた: 〈宗教〉としてのAKB48 (ちくま新書) 作者:濱野 智史出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/12/07メディア: 新書 ごみくず。このの理屈なら、長島茂雄が自分のアレで「巨人軍は永遠に不滅です」と言ったことをもとに、長島茂雄はキリストを超えたという説だって書ける。主張はすべて、かろうじて必要条件はあっても、十分条件皆無なので、信者以外には一言一句たりとも説得力ないよ。アキバ48を押し立てれば尖閣問題も竹島問題も解決だとさ。やれやれ。前著は少しいいと思ったけれど、今後ぼくはこの浜野の書いたものは目に入れないようにすることにした。もラオスに捨ててきます。こっちの古屋に売って純真なバックパッカーたちの精神汚染を引き起こしてはいけない。 追記 そうそう、ぼくが書でもう一つ耐えがたかったのは、もうを捨てちゃったので正確には覚えてないが、序文の最

    浜野『なんとかはキリストを超えた』:あきれた。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    Imamu 2012/12/12
    追記熱い「この本は、そういう等身大のファンを無視し、実物大のアキバ48を(たぶん)無視して、世界を勝手な思い込みで絶望に陥れることで両者を分不相応にでかいものに仕立て上げる」
  • 松谷『ギャルと不思議ちゃん論』:労作ながらジャンル内だけに閉塞 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ギャルと不思議ちゃん論―女の子たちの三十年戦争 作者: 松谷創一郎出版社/メーカー: 原書房発売日: 2012/08メディア: 単行購入: 22人 クリック: 876回この商品を含むブログ (19件) を見る サブカル内での棲み分けや派閥の抗争、重なり具合に関する、半ば自虐的、半ばナルシスティック、半ば自己参照的な論というのはたくさんある。おたくとナードとギークとジョックとゴスとパンクとチア系といじめっこといじめられっ子の相互力学は、アメリカの高校ドラマの永遠のテーマだ。 なぜそれがドラマのテーマとして成立するかというと――そのドラマの想定視聴者は全員、その力学内に身をさらしたことがあるからだ。だからそれを戯画化し、誇張し、細部を捉え、定式化すると「ああ、あるある」「そう、ああいうヤツ、いたよねー」という共感の基盤となる。 でも、それは基的には意匠だ。ドラマがドラマとしておもしろくなり

    松谷『ギャルと不思議ちゃん論』:労作ながらジャンル内だけに閉塞 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ヒース『資本主義が嫌いな人のための経済学』:不勉強な左派と図に乗った右派の両方をくさし、経済学の価値を認めるべきところでは認めろと主張するえらい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    主義が嫌いな人のための経済学 作者: ジョセフ・ヒース,栗原百代出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2012/02/09メディア: 単行購入: 20人 クリック: 834回この商品を含むブログ (15件) を見る 2008年金融危機に始まる世界不況、さらには震災後には特に、「資主義はもう終わり」みたいな物言いを無数に見かけてきた。これは特に左派に多いし、その人たちは資主義の理論的根拠(と思っている)経済学も破綻したと言いたがる。 でもそのほとんどは、実は経済学の主張をろくに知らず、自分の主張も考え抜いていない。そしてその無知と怠慢につけこんで、現状維持の保守派が乱暴な議論をしても反論できず、おかげで万年負け犬の地位に甘んじている。 それじゃダメだ。資主義のダメな現状を改善したいなら、左派もちゃんと勉強しようぜ、というのが書だ。 というわけで書は、筋金入り左派哲学者

    ヒース『資本主義が嫌いな人のための経済学』:不勉強な左派と図に乗った右派の両方をくさし、経済学の価値を認めるべきところでは認めろと主張するえらい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 筒井泉「量子力学の反常識と素粒子の自由意志」(岩波科学ライブラリー):不意打ちの衝撃。とんでもない極論めいた話を、実に説得力ある形で紹介。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    量子力学の反常識と素粒子の自由意志 (岩波科学ライブラリー) 作者: 筒井泉出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/04/28メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 39人 クリック: 1,089回この商品を含むブログ (12件) を見る おもしろい! たまたまいまグリーン『隠された宇宙』を読んでいて、だれも観察できなくても、数式が存在するといったらそれは存在するのだという議論を延々と読まされ、首をかしげていたところだけれど、書は観察されていないものは(それが月であっても)存在していないのだという話。さらにそこからあらわれるパラドックスについての説明のための仮説として、ぼくたち(そしてなんと、素粒子!)の自由意志が出てくるところは、まったくの不意打ちで驚愕。 観察したときには何があり、しないときにはない、というとパラドックスが生じるけれど、それは観察がランダムに、人の自由意志に

    筒井泉「量子力学の反常識と素粒子の自由意志」(岩波科学ライブラリー):不意打ちの衝撃。とんでもない極論めいた話を、実に説得力ある形で紹介。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    Imamu 2011/08/30
    「観察行為が(量子的なあれこれで)すでに決まっていたら? あるいはその逆に、素粒子のほうにも自由意志があって完全にランダムでないとしたら?」『今世紀になって出てきた「自由意志定理」なるものだそうな』何
  • だれかの設定に基づくアニメの話だけで、一般性ある「自己/自我」の話はできない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    SFで自己を読む: 『攻殻機動隊』『スカイ・クロラ』『イノセンス』 (青弓社ライブラリー) 作者: 浅見克彦出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2011/05/22メディア: 単行 クリック: 101回この商品を含むブログ (3件) を見る 押井守のSFアニメをもとに、自己とか自分とかいう概念のふしぎさと奥深さみたいなものとの関わりを表現しようとしただが、成功していない。 自己というテーマはおもしろいし、それを考えるうえで、アンドロイドや人形――押井守が好きなテーマ――に対する人間の態度が重要、というのは事実。でもそれぞれのレベルで何を語らせるかが重要。小説やアニメの登場人物の行動、学者の単なる感想文、多少は説明に使えそうな仮説、実証的な裏付けのある理論、それらをきちんと分けないと、著者として何に何を説明させたいのかがさっぱりわからず混乱するばかり。 ところが書は、それらをすべていっ

    だれかの設定に基づくアニメの話だけで、一般性ある「自己/自我」の話はできない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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