国税庁長官、就任会見見送り=異例の判断、「森友」追及懸念か 国税庁は8日、前財務省理財局長で、7月に同庁長官に着任した佐川宣寿氏の就任会見を実施しないと発表した。歴代長官が就任会見で抱負を述べるのは慣例で、会見を実施しないのは極めて異例。同庁は「諸般の事情を考慮した組織の判断」と説明するにとどめ、詳しい理由を明らかにしていない。 佐川長官は先の国会で、担当局長として学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地格安払い下げ問題について答弁。学園側との交渉経緯などを野党に追及された際、「記録は廃棄した」「確認は控える」との「ゼロ回答」を繰り返し、説明責任を果たしていないと批判を浴びた。 同庁は就任会見を開かない代わりに、「伝統ある国税の職場で働くことを光栄に思う」とした長官コメントを文書で公表した。国税関係者は「会見を開くことで、森友問題を再び追及されるリスクを懸念したのではないか」と話した。