2010年06月21日00:40 カテゴリ本経済 「分配の公平」についてのブックガイド サンデルのテレビ番組はきのうが最終回だったが、彼の本はアマゾンではまだベストセラーの4位で、普通の本屋でもベスト10に入り始めた。日本経済が停滞期に入り、成長をあきらめた人々が所得分配に関心をもつのは自然だが、首相が「小泉改革で格差が広がった」などというワイドショー的な所信表明を行なうのは困ったものだ。当ブログでは、以前からこの話題は何度か紹介してきたので、あらためてまとめておこう。 まず経済学の立場からいうと、分配の公平というのは非常にむずかしい問題で、この分野の第一人者であるSenも、最終的な答は存在しないという答を出している。経済学の合理的選択学派やゲーム理論のメカニズムデザインは、サンデルの批判する単純な功利主義だが、それでも個人の選好を社会的に正しく集計することはできない。まして功利主義以外の