ハードコアダンスを標榜し、社会の厳しい現実を映したソリッドな作品を数多く生み出してきた大橋可也&ダンサーズが、鮮烈な詩的イメージで仮想と現実の闘争を描いた、現代日本SFを代表する飛浩隆の唯一の長篇にして、ゼロ年代のベストSF作品にも挙げられる傑作『グラン・ヴァカンス』のダンス作品化に挑戦するという。人間に見捨てられた仮想空間に展開するリゾート施設「数値海岸」に暮らす、AI(人工知能)と呼ばれるキャラクターたちが遭遇する世界の崩壊。この作品に取り組むにあたって、大橋は自らのバックグラウンドである暗黒舞踏の手法にあらためて刮目しているという。一見、意外にも思える暗黒舞踏とSF小説の関係性はどこにあるのか? 大橋と共に、大橋の師匠であり、東京国立近代美術館『フランシス・ベーコン展』での公演を終えたばかりの舞踏家の和栗由紀夫と、本作にもドラマトゥルク(作品に関する資料的なリサーチやアドバイスを担当