2006年07月27日11:45 カテゴリ書評/画評/品評 「美しい」もインフレ気味 「国家の品格」でも繰り返し使われていた言葉だが、ずばり「美しい国へ」というタイトルの本が出た。それも、「安倍晋三の初の単著」として。 美しい国へ 安倍晋三 pp.228 わたしたちの国日本は、美しい自然に恵まれた、長い歴史と独自の文化を持つ国だ。 ミミタコなフレーズだけど、こういう時の「美しい」というのはなぜこうも「香ばしい」のだろう? それは前世紀、国家が自らを「美しく」するためにどんなことをしてきたかの記憶が今も生々しいからだろう。 ナチスは自分の国を美しくするために何をしたか。「汚いユダヤ人やロマ(ジプシー)」を取り除こうとした。共産主義は「資本主義の豚」を取り除こうとしたし、資本主義は「アカども」を取り除こうとした。そう。「美しい」には、「目障りなものが排除された状態」という意味もあって、そして、