尾張徳川家が誇る至宝を所蔵、公開する徳川美術館(名古屋市東区)の男性管理部長(60)から度重なるセクハラやパワハラを受けたとして、女性職員二人が十一日、美術館を運営する財団法人「徳川黎明会」(東京都豊島区、徳川義崇(よしたか)会長)に、計四百万円の損害賠償の支払いを求め、名古屋地裁に労働審判を申し立てた。管理部長は全否定している。 労働審判は労使間のトラブルを迅速に解決する制度として二〇〇六年に始まった。裁判官一人と労使問題の専門家二人が審理し、話し合いによる調停か審判での解決を目指す。結果に異議があれば訴訟に移る。 申し立てたのは管理部に勤める四十代と五十代の女性。申立書によると、管理部長は二〇一三年一月~今年五月、肩や手を触ったり、ホテルや旅行に誘ったりした。ボーナス査定時には「パワハラ、セクハラに付き合えば十万円アップ」と発言。誘いを断られると「業務命令だ。出世に関係する」と威圧する