人間の「美」まとった神々 足を踏み入れると、荘厳な雰囲気に包まれた。神々しい人物像が、ズラリと並んでいる。 東京・上野公園の国立西洋美術館で開かれている「大英博物館 古代ギリシャ展」。会場内にあるのは人間を題材にした大理石などの彫刻群だ。 「古代ギリシャの人々は、神と人間を同一視した。彫刻で神々を人間らしく表現し、人間を神々のように表現したのです」 青柳正規・国立西洋美術館館長は、こう説明する。 約130点の作品の中で、ひときわ存在感を発揮しているのが、大英博物館の至宝「円盤投げ」。西洋美術の「美の手本」とされている古代ギリシャ美術の代表作だ。 オリジナル作品は紀元前5世紀半ばに活躍した彫刻家、ミュロンの作。ブロンズで作ったとされるが、すでに失われてしまった。今回、展示されている作品は2世紀、ローマ時代に大理石で複製されたもの。円盤を持った右手を大きく後ろに振り上げ、まさに投げようとする一