創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊 【創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊】創作の本質を問う、第5回トーチ漫画賞大賞作。
最初にお断りしておきますけれど、僕は村上春樹の研究者ではありません。批評家でもない。一読者です。僕の関心事はもっぱら「村上春樹の作品からいかに多くの快楽を引き出すか」にあります。ですから、僕が村上春樹の作品を解釈し、あれこれと仮説を立てるのは、そうした方が読んでいてより愉しいからです。どういうふうに解釈すると「もっと愉しくなるか」を基準に僕の仮説は立てられています。ですから、そこに学術的厳密性のようなものをあまり期待されても困ります。とはいえ、学術的厳密性がまったくない「でたらめ」ですと、それはそれで解釈のもたらす愉悦は減じる。このあたりのさじ加減が難しいです。どの程度の厳密性が読解のもたらす愉悦を最大化するか。ふつうの研究者はそんなことに頭を使いませんけれど、僕の場合は、そこが力の入れどころです。 いずれにせよ、僕が仮説を提示するのは、みなさんからの「真偽」や「正否」の判断を求めてではあ
テクスト分析入門?小説を分析的に読むための実践ガイド 作者: 松本和也出版社/メーカー: ひつじ書房発売日: 2016/10/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る ナラトロジーを単に用語体系の解説にとどまらず具体的な小説読解への適用で実践してみせるところがこの本の最大の特徴。 概念を説明する過程で小説の一部を引用する程度ではなく、短編小説をまるごと読み解いてくれる。しかも各小説が巻末に全文掲載されているところも親切。 ……こういう本を待ってたところがある。 ナラトロジーとは何か。 第1章で概括されている通り、小説を【何が書かれているか […内容・主題] 】ではなく、【いかに書かれているか […形式・方法] 】という視点で捉えようとするアプローチ。客観的な指標によってテクストを分析し論理的な読み取りをおこなうことでテクストの特徴を記述する。 それぞれのパートでは、まず
2017年1月20日 追記 実験する小説たち: 物語るとは別の仕方で 木原 善彦 前回ご紹介した、実験小説・前衛文学の愛好家の必読書『実験する小説たち 物語るとは別の仕方で』が、「(仮)」が取れてついに発売されましたよ。 「ついに発売」といったのは他でもない。本来ならば去年の暮れに発売されるはずだったからです。 「このブログ、本当に情報が不正確だよな。ぜんぜん発売されやしない。おかげさまで、クリスマスから今日までずっと、雨の日も雪の日も本屋さんにかようハメになった。どうしてくれる!」 ぼ、ぼくのせいじゃありません! いろいろあったのでしょう……。お察しください。 その代わり、価格が当初の「2500円+税」から「2200円+税」に下がりましたよ。お詫び値下げなのでしょうか。2500円でも安いくらいの内容なのに……。水声社だったら逆に2800円になっていたところです。 それでは。アマゾンからの
0.前置き(読み飛ばし可) よくそれなりに名前を知られた小説家や、業界に名前を売った批評家、評論家が小銭稼ぎに、「小説家のなり方」とか「書き方教則」本のようなものを出すが、はっきり言ってああいうのは、ほぼすべて買ってはいけない。 なぜなら、小説家としての才能と、批評家としての才能は別物だからだ。小説家自身の自作解説を興味深い資料としてはあつかうが、それを絶対の解釈としてはいけない(一流の小説家が、自作の批評家として二流以下であることは普通にありうる)ということを言ったのはノースロップ・フライだが、よく小説家(創作者)が自作の「批評」を読んで、「俺はこんなつもりで書いてない」と言ったのをうけて、平身低頭、えへえへ笑ってごまかしそっと自説をひっこめる評論家や批評家がいるが、ああいうのは、批評家の資格がない。 では、読むとして何を読めばいいのか。それは、すでに評価の定まっている古典的名著を読めば
「政治少年死す(セヴンティーン第二部)」は、『文学界』1961年(昭和36年)2月号に掲載された。 『大江健三郎文学事典』の「政治少年死す」の項に下記の記述がある。 「この第二部によって「おれ」のモデルが当時の社会党委員長浅沼稲次郎を刺殺した山口二矢であることが明白になる。一九六○年十月十二日に起こったこの事件は作者執筆時にあまりになまなましい記憶として作者の脳裏にあったろうし、作者の文体もその躍動する時間の中でかなり興奮したものを反映している。「こういうファナティックな文体が批判的でありうるわけがない」と文芸時評に書いた山本健吉の感想もそのへんの事情をさしている。しかし主人公に対する作者の世代的共感については山本健吉も評価していたし、平野謙も「ファナティックにまで空想的なその性格に対する感情移入」が可能であったのは作者の「詩人」性のたまものであると高い評価を下した。なお、作中から予想され
ちょっと遅くなりましたけれど、過日開催された樺山三英によるイベントというか講演に行ってきたことについて簡単にメモしておきます。 7/2(土)17:30~『ドン・キホーテ』再入門/ゲスト:樺山三英氏『ドン・キホーテの消息』出版記念 | Peatix ドン・キホーテの消息 作者: 樺山三英出版社/メーカー: 幻戯書房発売日: 2016/05/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件) を見る赤坂に新店舗を移した双子のライオン堂で樺山さんが講演をすると聞いて、しかも題材が『ドン・キホーテ』だったのでこれはと参加することにしました。 講演は新作『ドン・キホーテの消息』を刊行した樺山さんによるドン・キホーテの解説というかたちになっており、『ドン・キホーテ』の内容紹介から、これまでの受容の歴史を追い、そして現代において『ドン・キホーテ』をどう読むかということについて語ったもの
新潮文芸振興会主催の文学賞 三島由紀夫賞(純文学・評論対象)と 山本周五郎賞(エンターテイメント対象)受賞者発表の瞬間を生放送! 選考結果が出るまでの待ち時間は、翻訳家・書評家の大森望さんと、書評家の豊崎由美さんの「文学賞メッタ斬り!」コンビによる実況&作品解説を現地からお届けいたします。 [more] 三島由紀夫賞候補は次の5作品 ・「悪声」いしいしんじ ・「鳥の会議」山下澄人 ・「憂国者たち」三輪太郎 ・「新カラマーゾフの兄弟(上下)」亀山郁夫 ・「伯爵夫人」蓮實重彦 山本周五郎賞候補は次の5作品 ・「ユートピア」湊かなえ ・「私は存在が空気」中田永一 ・「アメリカ最後の実験」宮内悠介 ・「ガラパゴス」相場英雄 ・「永遠とは違う一日」押切もえ 【出演】 大森望(翻訳家、書評家) 豊崎由美(書評家) 井上トシユキ(ITジャーナリスト) スマートフォンからの番組へのメール投稿はコチラ ■ニ
伊坂幸太郎はミステリ作家なのか? 佐々木 拙著『ニッポンの文学』では、2010年代の小説の世界はどうなっていくのか、ということに言及したエピローグで伊坂さんのことを取り上げさせていただきました。 この本では、いわゆる文芸誌に載っている小説しか「文学」の賞(芥川賞)の候補にならない、という身も蓋もない現実をまず指摘しました。その上で、そういったカギ括弧つきの「文学」と、その下位に位置づけられもする「ミステリ」や「SF」という他ジャンルの「エンタメ小説」とを同列に扱って、少なくとも70年代から今に繫がる小説シーンを自分なりに系譜立ててみたんです。 だから、僕にとっては伊坂さんと阿部和重さんの合作『キャプテンサンダーボルト』(2014年)は、「エンタメ」と「文学」というジャンルの壁を越える試みとして映ったんですね。 伊坂 僕のことに触れていただいただけでも嬉しいです。佐々木さんはあまり僕に興味が
ぼくのりりっくのぼうよみが、2月5日発売の月刊文芸雑誌『文學界 3月号』(文藝春秋)にエッセイを寄稿した。 今回のエッセイは、又吉直樹(ピース)が連載していた『火花』と同じ編集担当者が、ぼくのりりっくのぼうよみ「sub/objective」のMVを視聴し、本人にエッセイを寄稿しないかコンタクトを取ったことから実現。ぼくのりりっくのぼうよみも、大学受験の合間を縫って執筆に取り組んだという。 ■リリース情報 1stアルバム『hollow world』 発売:12月16日 価格:¥2,000(税別) <収録曲> 1.Black Bird 2.パッチワーク 3.A prisoner in the glasses 4.Collapse 5.CITI 6.sub/objective 7.Venus 8.Pierrot 9.Sunrise (re-build) iTunes Store配信 ヴィレッジヴ
私は母の作る卵焼きが大好きだった。少し醤油辛くって、少し甘い母特製の味。 お弁当に入っていたら、最後に残して少しずつ食べたし、必ずお弁当のおかずに入れてね!とリクエストした。 本当に本当に大好きだった。 ある日、私は母の彼氏(父親の間違いではない。彼氏だ)に卵焼きを作るように指示された。 彼は何かにつけて子供に指示する人だった。彼が吸うタバコとウィスキーを買いに行くのは時代もあり、私達姉妹の役目だった。そして彼の飲むウィスキーのコップに氷を入れるのも私達姉妹の役目だった。鍵で閉め切った部屋が開き、充満したタバコの煙と共に声が聞こえる。 「タバコを買って来なさい。」「今日はウィスキーを買って来なさい」「氷」 子供だった私達姉妹はそれに従う以外の術を知らなかったし、お使いを頼まれている間は鍵で閉め切った部屋が開くので母と話せる!という事だけでその指示に従っていた気がする。 氷を入れる指示は彼が
白熱教室 作家:カズオ・イシグロ ベストセラー作家が自作を語る。さあ、文学の真髄に触れよう 『日の名残』『私を離さないで』で知られるベストセラー作家カズオ・イシグロが文学を学ぶ大学生を相手に行う特別講義が実現。自作を紐解きながら自身の発想法や小説の意味などベストセラー作家ならではの白熱の講義で文学の真髄に迫る。
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