2014-06-04 「或る日のことでございます」 或る日のことでございますーーこの一言でピンと来る人も多いのではなかろうか。芥川龍之介の「蜘蛛の糸」、私の一番好きな児童文学の書き出しだ。 なんでまた急にというと、友人に「好きな童謡やおとぎ話は何か」と質問をされた際、特に何も考えないままこのタイトルを即答していたのだが、これをきっかけに、なぜ蜘蛛の糸に思い入れがあるのかを、ちゃんと思い返してみたためだ。 思い入れがある理由はシンプルで、私の思想をそのままに表しているからだ。たぶん、幼少期に読んだことで、大きな影響を受けたのだろう。小学5年生だったか、読書感想文コンクールにも蜘蛛の糸を題材に感想文を提出した気がするし、その過程で私の記憶と精神に深く刻まれたに違いない。 蜘蛛の糸という作品は、泥棒と殺人の罪で地獄に落とされた男・主人公のカンダタが、生前たった一匹の蜘蛛を殺さずに生かしたことから