ジョセフ・スティグリッツ「もっとも価値ある資源である若者を浪費するな!『格差』が米国経済の回復を妨げている」 オバマ大統領の再選についてはロールシャッハテストのように、種々な解釈ができる。今回の大統領選では、民主共和両陣営が、私が極めて憂慮している問題について議論した。すっかり根付いてしまったような経済の沈滞、そして、結果のみならず機会までも不平等という1%と残り99%の人々の間で拡大する格差。私には、これらの問題はコインの表裏に見える。 すなわち、世界大恐慌前からこのかた最高水準という不平等を引きずったまま、米国が短期間に力強い経済回復を実現するのは難しく、懸命に働いた見返りに豊かな生活を約束するアメリカンドリームは、徐々に死につつある。 政治家は概して、増大する不平等と緩慢な回復をバラバラの現象として話す。しかし事実は、二つは絡み合っているのだ。不平等は経済成長を押さえつけ、制限し、妨