■まんがという表現形式 とても素朴な話をしてみたいと思います。話というより独言というべきかもしれません。永年まんがを描いていながら、時どきフッと感じる、このまんがという表現形式についての不思議さです。共感していただけますか、どうでしょうか。 例えば目です。僕の場合、登場人物(動物も含めて)のほとんどは、円の中に黒玉を描いて目を表わします。現実にそんな目があるわけじゃない。昔からのまんががそう描いてきたから、見よう見まねで描いているに過ぎません。だから時どき不安になるのです。これ、ほんとに目に見えるのかな…と。 今のまんが界では目の表現も多様化され、黒点チョンチョンから、上下のまつ毛まで描きこんだリアルな物まで様ざまな目が取りそろえられています。一時期の少女まんがなど、大小十個にもおよぶ星をちりばめたプラネタリュウムみたいな瞳まで出現したのですが、これら大目玉までひっくるめてすべてちゃーんと