胎児を包む羊膜にiPS(人工多能性幹)細胞を作るために必要な3遺伝子がすでに存在していることを、横浜のバイオベンチャー企業と杏林大などの共同研究グループが突き止めた。iPS細胞が容易に作れ、iPS細胞の課題であるがん化が抑えられる可能性があるという。10日、横浜市で開催される日本分子生物学会で発表される。 羊膜には、他の種類の細胞に変わる能力「多分化能」があると指摘されてきた。京都大のグループも羊膜の細胞に四つの遺伝子を組み込んで効率よくiPS細胞を作ることに成功している。 バイオベンチャー企業の「バイオ・リジェネレーションズ」と杏林大、国立がんセンターなどの研究グループは、羊膜の幹細胞にはすでにiPS細胞作製に必須の3種類の遺伝子が働いた状態で存在(発現)していると仮定。今年3月、培養羊膜の幹細胞を使った実験で証明に成功した。効率よく幹細胞を抽出する技術を高め、応用に向けた取り組みを