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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (25)

  • 「エアコン中毒」の日本を救え | TOKYO EYE | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー ある日の真夜中、私は凍りつくような寒さとと2人の娘が鼻をすする音で目を覚ました。自分の鼻の先を触ってみると、まるで氷のよう。数時間前にベッドに入ったとき、私はエアコンを付けるべきかどうかという、毎晩お馴染みのジレンマと闘っていた。エアコンを付ければ、頭の上で「ウー」という騒音が鳴り続け、東京電力の株主たちを喜ばせ、翌朝息苦しいほど乾燥した部屋で目を覚ますことになる。 それなら、エアコンを付けないでおくべきなのか。そうなればもう1度、バーチャル北極ツアーに出かける準備をしなければいけない。 私はベッドの中で、ガタガタ震えながら思った。「そうだ、ここは日だった。G20で第2の経済大国でありながら、住宅環境はG20で最悪の、日だった----」 欧米人の中には、日の家をその小ささから「ウサギ小屋」と揶揄する人もいる。実はそれほど小さくないのだが(部屋が

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    Nean 2015/10/04
  • サウナ設計の炎熱首都によみがえる寅さんの世界

    今週のコラムニスト:マイケル・プロンコ 〔8月6日号掲載〕 梅雨明けの猛烈な蒸し暑さは、いつもいきなり襲ってくる。7月初旬のある日、昼休みに四谷を歩いていると、道ゆく人々はみな突然の猛暑にショックを受け、当惑し、マラソンを終えたランナーか分娩を終えたばかりの産婦のように疲労困憊していた。不思議だ。毎年猛暑の夏が巡ってくることは分かっているのに、なぜ誰も対策を取らないのだろう。 巨大なスチームアイロンが上空に現れたように最初の熱波が襲ってくると、東京の都市デザインの根的な問題が明らかになる。都市建築の専門家ではなく、ホットヨガのスタジオかサウナ設計のプロが手掛けたデザインのようだ。 もしも夏向きに設計されたのなら、建物の屋上には必ず庭園かプールかビアガーデンがあるはずだ。だが夏の東京はヒートアイランドと化す。ヤシの木もパラソルも心安らぐ波の音もない熱帯の島だ。 おびただしい数の人が行き交い

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    Nean 2013/08/13
  • 猪瀬発言:「イスラーム初」か「アジア初」か

    猪瀬都知事の発言が原因で、オリンピックの東京招致に影が差している。 「イスラム国はけんかばかり」という侮蔑的表現が取り上げられることが多いようだが、その発言を弁解するときに「雑談のつもりだった」と言った、「イスラム圏初ってそんな意味あるのかなあ」という発言のほうが、筆者は気になる。なぜなら半世紀前に東京でオリンピックが行われたときの、最大のウリが「アジア初のオリンピック」だったからだ。 そこで思い出したのが、1964年の東京オリンピックの際のゴタゴタである。 問題が起きたのは、オリンピック開催まであと2年強となった1962年8月、インドネシアで開催されていたアジア競技大会でのこと。この大会に、イスラエルと台湾の参加がインドネシアによって拒否されたのである。インドネシアは、インドのネルー首相やエジプトのナセル大統領と並んで、1955年以降アジア、アフリカ諸国を席巻していた非同盟諸国運動の中核

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    Nean 2013/05/02
  • スマホが人間をダメにする

    インターネット時代、スマートフォン時代になって、我々はいつの間にか、以前にはなかったような無礼ではしたない振る舞いをするようになった。 その1つがいわゆる「ショールーミング」、小売店をショールームのように利用することだ。店では商品を見るだけで、実際の購入は自宅のパソコンなどからショッピングサイトにアクセスして行う。 もちろん、これは今に始まったことではないのだが、問題はそのやりかたが昨今どんどん露骨になってきたということだ。 アマゾン・ドットコムがインターネットでを売り始めた当初から、の中身は店頭の立ち読みで確かめ、注文は家に帰ってアマゾンでする、という人はいた。だがその頃は、「屋さんに悪いな」という気持ちが少しは働いていた。それでもアマゾンで買ったのは、安いアマゾン価格を前にして背に腹は代えられなかったからだ。 ところが今は、この「クリック購入」を屋の中でもスマホを使ってやるよう

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    Nean 2013/02/04
  • 政治家を育てる質問

    12月16日の衆議院選挙投票日。テレビ東京の開票特番「池上彰の総選挙ライブ」を担当しました。 放送中から思わぬ反響をいただき、テレビ東京にはいまも再放送やDVDの発売を求める声が寄せられているそうです。 テレビ東京の人たちはもちろんのこと、外部スタッフが総力を挙げて制作・放送したものですから、当然の評価とはいえ、その一翼を担った私も嬉しく思います。 いつも「いい質問ですね」が口癖の私としては、視聴者に「いい質問ですね」と言ってもらえる内容を目指したからです。 ただ、党首や候補者への私のインタビューは、ジャーナリストとして当然のことをしたまでで、これに関する評価は面映ゆいものがあります。 というのも、たとえばアメリカテレビ政治番組なら、政治家に対しての容赦ない切り込み、突っ込みは当然のことだからです。 日なら「失礼な質問」に当たるようなことでも、平然として質問をしますし、質問を受けた側

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    Nean 2012/12/24
    ところで視聴率はどれくらいだったんだろう?
  • NY地下鉄で死ぬ直前の男の写真が撮られたとき、他の乗客は何をしていたか

    ニューヨークのタブロイド紙『ニューヨークポスト』が火曜、前日に地下鉄駅で起きた事故を報じた。いや、正確には事故になる瞬間を報じたと言った方が正しいだろう。 乗客同士の言い争いで50代の男性がホームから突き飛ばされ、そこに入ってきた電車に挟まれて死亡した。ニューヨークポストが1面で大きく掲載した写真は、ホームに手をかけ数メートル先に迫った電車のほうを振り返った男性の姿を捉えている。タイトルは、「万事休す、線路に突き落とされた男が死に行く瞬間」。 この事件は、いくつもの意味でいたたまれない気持ちにさせる。 まずジャーナリズムの観点から、こんな写真を載せる必要があったのかという点。数秒後に死のうとしている人間の姿を晒すことに、センセーショナリズムを煽る以外の意味があるのか。 もし事故の様子を伝えることが目的だったのならば、文章で説明し、写真は意図的に掲載しないという選択肢もあっただろう。だが同紙

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    Nean 2012/12/07
  • イスラム冒涜映画への閲覧遮断はグーグルの不当な自己検閲か

    中東やパキスタンで反米デモを起こすきっかけとなった映画『イノセンス・オブ・ムスリム(無邪気なイスラム教徒)』。預言者ムハンマドを侮辱したとして、イスラム教徒の抗議が暴動化し、各地で死者が出ている。 アメリカで製作されたこの映画をユーチューブで管理しているグーグルは、9月13日にエジプトやリビアのユーザーがこの映画にアクセスできなくなる措置をとった。騒ぎがこれ以上悪化しないようにとの判断からだろうが、これが行き過ぎた自己検閲ではないかという批判を浴びている。 映画にアクセスできなくなっているのは、この2カ国だけではない。国境なき記者団のサイトによると、政府がISP(インターネット・サービスプロバイダー)に命じてユーザーからのアクセスをブロックしているのは、パキスタン、バングラディシュ、アフガニスタン、サウジアラビアなど。政府の要請によってグーグルがブロックしたのは、マーレシア、インドネシア、

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    Nean 2012/09/25
  • 尖閣騒ぎを大きくした真犯人は誰だ?

    今週のコラムニスト:李小牧 〔9月12日号掲載〕 路上だけでなく、大通りに面したあらゆるビルから人々が熱狂的な声援を上げる──。思わず、文化大革命を発動した毛沢東が天安門広場に100万人の紅衛兵を集め、接見したときの様子を思い出した。ただ、私が今回目にしたのは文革のような政治運動ではない。ロンドン・オリンピックから帰国した日人選手たちの銀座パレードだ。 銀座の沿道に集まったのは50万人。熱狂的という点で2つの「集会」は似ているが、中国人が声援を送ったのは、後に国中を大混乱に陥れた指導者。一方、日のパレードの主役は平和の祭典でメダルを獲得したヒーローやヒロインたちだ。もちろん時代も国の事情も違う。だから、これで平和的な日が優れていて、政治運動に狂った中国が劣っているなどと言うことはできない......はずだった。 そんな折、先日の尖閣諸島への香港活動家の上陸騒ぎをきっかけに、中国全土の

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    Nean 2012/09/18
  • 「親日」か「反日」かでは語れない領土問題

    香港人活動家の尖閣上陸で始まり、19日の日曜日には中国各地での反日デモにまで発展した騒ぎに、「これからどうなるのだろう」と感じている日人は少なくない。わたし個人は逆に中国人の方が泰然としているという気がしている。というのも中国人はある意味、単純明確に「領土問題」としてこの事件をとらえているのに対して、逆に日側には見えていない点があまりにも多く、その状態で解読しようとすればするほどわからなくなり不安に結びつく、つまり「知らないこと」が猜疑を生んで怖れや戸惑いに結びついているように見える。 今回まず明らかになった「不明点」は、日社会には尖閣(中国では「釣魚島」、台湾や香港では「釣魚台」と呼ぶ。稿では中国側視点を紹介する場合は「釣魚島」で統一する)を巡る領土紛争についての認識に大きな誤解があることだ。 活動家の上陸が伝えられた瞬間から、ツイッターなどでは「反日」という言葉が飛び交い出した

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    Nean 2012/08/21
  • 中国の人権問題を日本人が無視する代償

    今週のコラムニスト:李小牧 〔5月30日号掲載〕 彼に初めて会ったのは、数年前に東京の明治公園で開かれたイベントだった。歌舞伎町案内人として超有名な私がメインゲストとして挨拶するのだと思っていたら、最初にマイクを握ったのが彼で思わずむっとした(笑)。さらにこの人物はあろうことか、中国からの「高度な自治」獲得を訴えるウイグル人だった。 彼の名前はイリハム・マハムティ。外国に住むウイグル人を束ねる世界ウイグル会議傘下の日ウイグル協会の代表だ。漢族として中国教育を受けた私にとって、少数民族の「独立」を求める動きは分裂主義にほかならなかった。ただ日に20年住んで自由な報道に触れ、自分が中国で受けた教育はおかしいのではないかとも感じ始めていた。 イリハム氏のスピーチで一番印象に残ったのが、「何十万人というウイグル人女性が、漢族と結婚するため新疆ウイグル自治区の外に移住させられている」という話だ

  • 地震のリスクを抱き締めて私は東京で暮らし続ける

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔2月29日号掲載〕 ニューヨークは眠らない街。東京はじっとしていられない街だ。 1月末に東京大学地震研究所の教授が、東京で「大地震」が4年以内に発生する確率は70%だと発言した。30年以内で98%だという。しかしこのニュースが報道されてもパニックは起こらず、不動産の価格も株価も暴落しなかった。 私が95年に東京へ来た頃は既に、「大地震」が東京を直撃する可能性について盛んに言われていた。私の母親や友人から見れば、私は英雄だった──「東京に住むの? 危険なんでしょう?」。 以来、大きな地震が2回、確率はかなり低いと思われていた地域で起きた。79年以降、日で10人以上の犠牲者が出た地震は、比較的確率が低いとされた地域で起きている。東北もリスクはかなり低いとして、故金丸信は仙台を第2の首都に推薦したではないか! 一方で、私は東京のおかげで人生最高の15年を

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    Nean 2012/03/05
  • フェイスブックから利用者を「解放」するアンチFBサイトって?

    先日、高校を卒業したばかりの知り合いの女子がこう宣言した。「フェイスブックは、もう辞めた!」 アメリカのティーンエージャーにとって、フェイスブックなしの生活などあり得ないはずなのだが、これからは「前フェイスブック時代」のように、インスタント・メッセージでひとりひとりの友達といちいち連絡を取り合う生活に戻るのだという。 彼女がフェイスブックを辞めた理由は、「友達」みんなとのやりとりがこれでもかと込み入ってきて、面倒くさくなったからだという。そんなことに時間と神経を費やすことにうんざりしたらしい。彼女たちが住んでいるのは、仲間がフェイスブックで情報を共有して、みなが一斉に同期化しているような環境だから、そこから一人抜け出すのはさぞ勇気が要ったと思うのだが、一方でせいせいしたことも確かだろう。 別の成人男性は、「友達」リクエストに気楽に「イエス」と応えているうちに、よく知らない人や好きでもない人

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  • 円高という黒船が「内向き」日本を変える

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔2月1日号掲載〕 日経済の奇跡を思うとき、私はいつも牛乳の入ったグラスに落っこちたネズミの話を思い出す。ネズミは溺れまいと無我夢中で泳ぐ。するとそのうち牛乳はバターになる。ネズミは助かり、バターを売って大金持ちになる。 日はそのネズミだ。日の驚異的な成功は、逆境への適応の歴史だ。日は天然資源に乏しく大した広さもないし、主要ルートから外れた辺ぴな地にある。要するに豊かになるはずがないのだ。にもかかわらず日は外圧によって強く豊かになった。黒船の来航を受けてアジアで最も豊かな国になり、第二次大戦に負けた後には世界第2位の富裕国になった。 平和になった今、日は円高という新たな黒船に直面している。財務省は毎日、日の窮状を円高のせいにする。日は輸出国だから、円高は日の競争力を低下させる。ライバルの韓国中国の通貨が安いだけになおさらだ、と。 円

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    Nean 2012/02/07
  • Google はフェースブックより「まともな」SNS | @シリコンバレーJournal | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    グーグルが新しいSNS(ソーシャルネットワーク・サービス)を発表した。 その名は「Google+ (グーグル・プラス)」。現在はまだ一般公開前のフィールド・テスト段階で、つまり限られたユーザーにしかオープンにされていない。私は、知り合いからインビテーションをもらい、早速あれこれ試してみた。 大いに感心したことが、まずふたつある。 ひとつは、デザインがわかりやすいことだ。それもそのはず。アップルの元祖マッキントッシュ・コンピュータの開発メンバーで、今はグーグルに在籍するアンディ・ハーツフェルドがデザインしたとのことで、アップルのインターフェイスのように使いやすい。見た目もすっきりときれいだし、使い勝手もいいというのは、エンジニアっぽさが目立ついつものグーグルのサービスとは、ちょっと違った感じである。 もうひとつ感心したのは、SNSをやっと「まともな」ところへ持ち上げてくれたことだ。それは「サ

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  • 災害時の人命救助でIT技術にできなかったこと

    「V&TCs」ということばが何を意味するか、ご存知だろうか。 これはvolunteer and technical communitiesの略である。とくに被災地で活動するボランティアと技術コミュニティーの意味で『Disaster Relief 2.0(災害救済2.0)』という報告書の中で使われている。この報告書は、災害時に今後テクノロジーがどう使われるべきかを詳細にわたって考察する重要なものだ。V&TCsという用語も、これまでバラバラだった人々の努力をひとつのものとして提示するという点で、画期的だと思う。 同報告書は、2010年1月に起こったハイチ大地震の救援活動の際に、多数のボランティアと技術の専門家、ことにインターネットやコンピュータ技術を得意とするテクノロジー関係者が多く関わったが、もしさまざまな情報がもっと効率的にまとめ上げられていたら、その効果はより大きかったはずだという反省か

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  • 大学入試カンニング事件で露呈したマスコミのお粗末なITリテラシー | エコノMIX異論正論 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    京都大学など4大学で行なわれた入学試験のカンニング事件は、それを実行したとみられる予備校生が逮捕されたことで決着した。終わってみれば一人の少年の単純な犯行だが、この事件をめぐって繰り広げられた過剰な報道合戦は、日のマスコミのITリテラシー(理解力)の低さをあらためて示すものだった。 最初に「ヤフー知恵袋」に京大の試験問題が投稿されたことが判明したのは2月26日で、夜になってNHKが京大当局の話を伝えると、さまざまな推測がツイッターで乱れ飛んだ。私がそれをまとめて27日朝にブログにまとめたところ、3日間で30万ページビュー近いアクセスがあった。 最初はかなり高度なハイテク犯罪かと思ったのだが、いろいろな人の話を聞くうちに、これはきわめて単純な犯行だとわかった。携帯電話が使われているからだ。パソコンはネットカフェなどを使えば身元を隠せるが、携帯電話は携帯電話会社のサーバーに識別番号(電話番号

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    Nean 2011/03/05
    ノビー、相変わらず一知半解。
  • 久々の東京で味わった恐怖の書類ショック

    今週のコラムニスト:マイケル・プロンコ 研究休暇で実に12年ぶりに日を離れ、10カ月間を海外で過ごした。数週間前に帰国したとき、カルチャーショックを受けることは予想していた(逆カルチャーショックなのか逆・逆カルチャーショックなのかはともかく)。それでも、最大のショックについては心構えができていなかった。「書類記入」ショックだ。 詳細な項目に日語で必要事項を書き入れることを「書類ショック」と呼ぶことにしたいが、今回それは空港の入国審査で始まった。私は文句も言わずに指紋を取らせたのに、係官は私が前もって律儀に記入しておいた用紙を破棄した。 係官が指し示したのは、10カ月前の出国時に知らぬ間にパスポートにホチキス留めされていた用紙。私はそこに書き直した。次回出国用の用紙がパスポートに挟み込まれるのを見ながら、東京ライフには書類が欠かせないことを思い出した。恐怖とともに。 次の書類ショックはス

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  • ニューズウィーク的文章表現研究

    どこの国の週刊誌であれ、読者に興味深く記事を読んでもらう工夫を怠りません。読者を惹きつけるためには、書き出しの一節が、とりわけ重要です。たまには、そんな観点から、ニューズウィークの記事を検討してみましょう。 題材は、エジプトの動乱を伝える記事です。まずは、誌日版2月9日号の「独裁の悪夢を覚ますエジプトの怒り」です。 「エジプトと21世紀の世界をつなぐ通信インフラが1つ、また1つとダウンした。ツイッター、フェースブック、そして最後はすべてのインターネット接続が遮断された。ショートメールも使えなくなり、エジプト全土で無数の携帯電話が不通になった」 エジプトで、ツイッターやフェースブックなどによって反政府デモが盛り上がったので、政府がこれを遮断した、という話の導入として、躍動感のある文章です。これぞ、読ませるための導入です。 書き出しで、21世紀とをつなぐ話をした以上、記事の最後でも、これに

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    Nean 2011/02/10
  • エジプト:軍とイスラム勢力にまつわる「誤解」

    一週間前、エジプトの反ムバーラク勢力が「怒りの日」に結集したときには、こうも急速に事態が展開するとは予想できなかった。3日ごとに組織される数十万規模のデモ、外出禁止にも従わず終日ムバーラク退陣を叫ぶ若者。米政権も現政権を見限り、30年間のムバーラク大統領の治世は終焉を迎えつつある。 「ムバーラク政権の独裁に反対する民衆に、軍も共感し、反政府勢力のムバーラク下ろしが勢いを増しているが、野党のなかで最も強力なイスラーム主義のムスリム同胞団が新体制下で支配的になり、イランのようになるから危険だ」――。これまでの報道振りをまとめると、こんな感じだろう。だが、このロジックに強い違和感を覚える。 第一は、軍に対する認識である。ムバーラク政権は、52年以来続いてきた紛うことなき軍事政権である。52年の共和制革命を担った主役として、以来軍は支配層の中核にあった。ムバーラク批判が強まるにつれて、軍が真っ先に

    エジプト:軍とイスラム勢力にまつわる「誤解」
  • 懐かしく愛おしい東京のギュウギュウ生活

    今週のコラムニスト:マイケル・プロンコ 東京で暮らして12年。大学の研究休暇が取れて、昨年の春から先日までアメリカ各地の図書館を訪れ、調べものをする日々を過ごしていた。朝から晩まで図書館で過ごした後、生まれ育った故郷の道を歩くのは楽しかった。だが歩きながら、いつも不思議に思っていた。みんな一体どこに行ったのか? アメリカでは、まるで人々が注意深く「割り当てられている」みたいだ。車1台に1人、テーブル1つに1人、1区画に1人という具合に。 東京のラッシュが懐かしかった。毎日飲んでいた「人間カフェイン」を取り上げられたような気分だ。東京に比べると、アメリカはニューヨークやシカゴのように人口密度の高い都市でさえ、空き地や空きビル、やたらと幅の広い歩道など人のいないスペースが多い。アメリカ人はその広大な国土の中で、迷子になってしまったのだろうか。 どこに行っても人がいないことが不安だった。ある朝ブ

    懐かしく愛おしい東京のギュウギュウ生活
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    Nean 2011/01/28