次第に現実味を帯びてきた債務不履行。日米などが借金を続けられるのは、投資家の信認が保たれている間だけだ 先進国の政府が貸し手に「借りた金は返さない」と宣言する事態が起き得ると聞かされても、少し前なら誰も信じなかっただろう。アルゼンチンやロシアならともかく、まさかアメリカや日本やイギリスに限ってそんなこと......。 その「まさか」がすぐに起きるとは思わないが、あながちあり得ない話とは言い切れなくなってきた。裕福な国々の政府が多額の借金を続けているので、「貸し手は将来も貸し出しを続け、政府はこれからも借金返済を続ける」という前提が崩れる日が訪れるかもしれない。 そんな事態に陥ったら世界にどんな影響が及ぶだろう。歴史を振り返っても、ほとんどヒントは見つからない。この疑問を考える上で重要なのは人間の心理だ。 別の大きな問題を元に考えてみよう。ドルが市場の信認を失って売られ、円やユーロ、金、原油