秋の園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した山本太郎参議院議員に対しては、「議員辞職」(参議院規則では「除名」)を求める声も上がったものの、山崎正昭参院議長が国会法で付与されている「秩序保持権」に基づき、厳重注意したうえで任期中の皇室行事出席を禁じる内容にとどまった。 《手紙の内容も手続きも問題》 山崎議長は山本議員を議長室に呼んで、「議員の自覚を持ち、院の体面を汚さないよう十二分に肝に銘じてほしい。今後、皇室行事への参列は院として認めない」と通告し、本会議で処分を実施したことを報告した。これで「一件落着」になったが、何がしか不満感が残るのを禁じ得ない。処分の適否は措(お)くとしても、事の本質を深く究めずに、ごく一面的な対応に終始したからである。 与野党がほぼ一致して賛同した最大の処分理由は、天皇の「政治利用」であった。そもそも秋の園遊会は「菊花を愛で、内外人と和楽を共にする」かつての宮中「観菊会