原発で重大事故が起き、格納容器の圧力を下げる排気(ベント)を迫られた際、放射性物質の排出を最小限にとどめるためのフィルターが、国内のどの原発でも設置されていないことが、電力事業者への取材で分かった。事故時には作業員らの前線基地となる免震施設の放射線対策が進んでいないことも判明。東京電力福島第一原発事故の教訓が十分生かされていない。 福島事故では、炉心が過熱し、格納容器の圧力が設計値の二倍前後まで上昇。容器が大破する最悪の事態が起きないようベントに踏み切った。排気筒にフィルターが付いていなかったため、大量の放射性物質をまき散らす結果を招いた。 現地対策本部が置かれた免震重要棟では、窓に放射線を遮る備えがなく、対策室を除いては放射性物質を浄化する設備もなかった。会議室や廊下に寝泊まりした作業員は、放射性物質を吸い込む内部被ばくの危険にもさらされた。 また、自衛隊の電源車から電気の供給を受けよ